
温暖な四国ではもう春の気配が感じられる3月。
四国で一番早い春を訪ねて足摺岬へツーリングに出かけた。
今回、相棒のプレステージ君はお休み。スバルのレガシィB4での旅となった。
今回のツーリングのメインテーマは「B4試乗インプレッション」だ。
2000年3月4日(SAT)雨また雨、時々激しく雨

まったく・・・人が出掛ける時にはなんでこんなに雨が降るの?
今日は一日中雨。私が洗車をすると次の日必ず雨が降るらしく、うちのやつは「お願いだから洗車はヤメて」なんて事を昨日言っていた。
夕方6時前に愛媛スバルさんがレガシィのB4を持ってきてくれた。
第一印象はカッコイイ〜
オドメーターを見るとなんとまだ36キロ!昨日おろしたばかりかな?この試乗車にはオプションの本皮仕様「スペシャルレザーパッケージ」と高級オーディオの「マッキントッシュサウンドシステム」それにスポーティーパックという名目でリヤースポイラーが装備されている。う〜ん、うちのクルマより贅沢だ。
用意していた荷物をトランクに詰め込み(想像以上に広くて詰め込んだといってもまだ半分は空きがあるほど)時折激しく降る雨の中6時過ぎに出発。今日は愛媛県境の一本松町という所で宿泊予定なのでそれほど急ぐスケジュールではない。
それにしてもなんという安定感だろうか。
このB4はRSKというグレードで260馬力もあるのだが(MT車は280馬力)不用意にアクセルを開けても足がしっかり大地に着いているという感じだ。4WDという駆動方式のおかげ(通常状態で前35、後ろ65に配分)もあると思うが、普段乗っているFFとは大きく印象が違う。
ちなみにサスペンションは前輪ストラット、後輪はマルチリンク。
その優れた操縦性に感動しつつ、ちょっといただけないのが前述の本皮シート。やはり滑る!ツルツルと。今まで本皮シートのクルマなんて乗った事がないので、余計にそう感じるのかもわからないが、どうもしっくりこない。まあ、これは個人的な好みもあるのであえて気にしないようにしよう。
それとは反対にヘッドライトの明るさは特筆もの。HIDランプは雨の夜に威力を発揮する。プロジェクターフォグランプも装備されているが、これを使う必要は全くなし。最近、目が悪くなって夜は見えにくくなったのだが、このライトのおかげで随分と助かった。ハロゲンの65%の消費電力というのもGOOD。バッテリーとドライバーに優しいライトだろう。
メーターパネルのデザインも好感が持てる。イグニションスイッチを捻ると4連メーターのリング→赤い指針→そして全体が表示され、昼夜を問わず視認性は良好だった。
路面は相変わらず雨が川になって流れるほどの悪コンディションだったが、17インチのホイールを履く215/45タイヤは路面をしっかり捉えて山道を軽快に走破してくれる。ついつい子供を乗せていることを忘れてきついコーナーを攻めたりして・・・『こりゃあ気持ちいい!』でも後部座席には人間速度警告装置(うちのやつです)が付いているので即座に指導を受ける。指導3回でレッドカードらしいので注意しながら約1時間少々で今夜の宿泊地に到着。本日の走行距離は50キロほど。
「走り足りないゾ」
2000年3月5日(SUN)曇り、でも暖かい
昨日の夜はなかなか寝ないと思っていた子供たちがスヤスヤとよく寝た。たぶん、大きな湯船で泳いだから疲れたのかな?
朝食後、薄曇りの中8時半前に出発。いよいよ足摺に向けて高知県入りする。
今日は時間を気にしながらの旅になりそう・・・というのもこのクルマを時間までに返却しないといけないから。
じつはこのレガシィは24時間の無料モニターで借りているものだ。
2週間ほど前に愛媛スバルさんにお邪魔して同じB4を試乗させてもらったのだが「もっと乗ってみたいなあ」と考えていたらモニター募集の文字が!さっそくハガキを書いて応募したところ快く貸していただいたので、今回の相棒がB4となったわけだ。一応24時間なので今日の夕方までにはガソリン満タンにして返却する予定。
でも、レガシィといえばツーリングワゴンの代名詞になるぐらいなのになぜセダンを?これには理由が2つある。
1つ目は私の今まで乗ってきたクルマはほとんどがハッチバックタイプだった。唯一、独立したトランクがあったのがスカイラインぐらい。以前から、死ぬまでに1台でも多くのクルマに乗りたいと思っていたので、多種多様なクルマに触れ合う事を考えて今回は敢えてセダンをチョイスした。
2つ目は現在のモデルになって格段に売る気が出てきた(?)セダンの出来を実際に確かめたかったことがある。前モデルまではツーリングワゴンの影に隠れて地味な存在だったが、今回はスバルさんもリキが入っているようだ。TVCFもカッコイイ作り。もちろん、ツーリングワゴンもいいのだがあまりにもたくさん走っているので、セダンを応援してあげたい気持ちもある。
昨日の大雨のせいでまだ路面はウエット。時折水しぶきを上げながらR56を南下する。一本松町から高知県境は目と鼻の先なのであっという間に高知県入りだ。ここは宿毛市という所。足摺岬に行くには街に入る前にR321へ入る。
余談だが、ここから九州の佐伯という所(大分県?)までフェリーが出ていて、約3時間ほどで行けるそうだ。時間だけ考えると瀬戸内海を渡って本州へ行くよりずっと身近に感じる。
前のクルマが跳ね上げる水しぶきを時々ワイパーを動かして・・・ん?なんでウォッシャー液がサイドガラスまで流れてくるの?答えは簡単、フロントウィンドウ横のレインガーターがほとんどないから。これはちょっといただけない。
気になるついでに言うと、トランクの上に大袈裟に装着されているリヤースポイラーも後方視界を悪くしているだけ。このクルマには必要ないと思う。
ほとんど信号のないうえに、右手に広がる綺麗な海を見ながらのドライブは快適、クルマは程なくして土佐清水市に入る。
ここでR321を外れ、いよいよ足摺スカイラインに。
B4がもっとも得意とするステージだろう。この時間になると路面は大部分乾いているが、日陰はまだ濡れている状態。その濡れている登りのヘアピンで少々オーバースピードのまま進入してみるも、あっけなく何事もなかったように曲がってくれた。登りの場合、前輪にトラクションが掛かりにくいのだが水平対向の低重心レイアウトのせいか、はたまた4WDのせいかオンザレール感覚で曲がるのには正直言って驚きだった。
昔、言われていた「4駆は曲がりにくい」という定説はもはや過去の物となったようだ。(噂では足まわりのチューンはポルシェがしたらしい、ウソかホントか定かではない)ただ、ブレーキの効きはイマイチ。タッチ自体ももう少し剛性感が欲しいところだ。
アップダウンが激しくきついコーナーもいくつかあって最高に楽しめるルートではあるが、先ほどのコーナーでまたもや指導を受けたのでスローダウンすることに・・・。今度来るときには(もう貸してくれないけど)一人で来ようと固く心に誓った私だった。
スピードを落とした代わりに今度はこのB4の売りの一つである「スポーツシフト」にチャレンジしてみよう。
このスポーツシフトだが、他の車種と同様にシフトレバーをDレンジから横にしてマニュアル操作出来るし、ステアリングホイール上に設けられた+−のスイッチでも行える。まさにアーケードゲーム機感覚。
シフトレバーを操作するのは以前に現行アコード&アコードワゴンで実践済みだが、ステアリング上で操作するのは初めて。結論から先に言うと「こんなものいらない」。
スイッチは上に押せばアップ、下に押せばダウンだが、どうしてもアップ操作がうまくできない。慣れれば自然と指が動くのだろうが、どうしても先に左手がシフトレバーの方へ伸びてしまう。それにスイッチ操作するためにはある一定の位置に手を置いておかないといけないのでとっても窮屈だった。
結局、マニュアル操作はシフトレバーで十分という結論に達したわけだ。「両手をステアリングから離さずにシフト操作が出来て〜」なんて雑誌等で評価しているが、片手でコーナーを曲がれないほどスピード出すか?F1じゃないんだから。それにタイトコーナーではステアリングは上下逆さまになったりするのだが、この状態では正確にシフトチェンジが出来ないのでは?
ステアリングの話しになったついでに言うと操舵力が軽すぎ。
4WDイコール重いというイメージを払拭させるためだろうか、一昔前のアメ車の感覚だ。片手どころか2,3本の指で軽く回るほど軽い。確かにこれも好みの問題ではあるが、スポーツセダンを全面に打ち出している事から考えると少し矛盾を感じてしまうのは私だけだろうか。
あと、きついコーナーでも体をしっかりサポートしてくれるシート形状にはマル。ただ、座面両脇の盛り上がりが大きいため乗り降りの時にいつもよりちょっとだけ足を上げないといけないが、このぐらいは許容範囲内だろう。
普通に走っているぶんには室内はとっても静か。水平対向の独特なサウンドは聞こえてこない。ボクサーサウンドを楽しめるのは3000回転を越えた辺りからだ。
が、この手前ぐらいで一旦トルクの落ち込みがある。それがATシフトスケジュールによるものかターボの切り替わりのタイムラグなのか、正確にはわからなかった。
灯台や白山洞門、それにジョン万次郎の銅像などを見学して足摺を満喫した。
途中、遊歩道を歩いていると長男が巨大なミミズを発見。優に20センチは越えていただろう。折しも今日は『啓蟄』だからか。
相変わらず薄曇りの天気だが、流れる風は暖かくジャンパーはいらないほどの気温だった。やっぱり四国の最南端だと改めて実感。
お昼前には足摺をあとにして帰路に着く。
先ほどの楽しい足摺スカイラインを通って、土佐清水市に出てから今度は中村市を目指した。ほとんど信号のないR321を快調に走って程なく中村市内に到着。
昼食をここで取る予定だったので手頃な店を物色していたら子供たちが一斉に「あっ!マク○ナルド!」おいおい、何が悲しくてこんな所でハンバーガー食べないといけないの?せっかく高知に来たのだからもうちょっと郷土料理らしいものを・・・親の意見は子供の合唱で却下されてしまい結局ハンバーガーになってしまった。うちのやつは刺身定食か鰹のたたきが希望だったようでガッカリ。子供がもう少し大きくなったら夫婦二人だけで来よう。
なにがウマイのかよく分からないファーストフードでお昼を済ませて今度はR56を西に向けて走る。交通量も多くないことから途中で運転を交代してうちのやつにも体験してもらった。
参考までにB4の感想を聞いてみると「ハンドルもアクセルもブレーキも軽いから運転しやすいし、小さいので乗りやすい」との事。ふ〜ん、やっぱりオ○サンにはこれぐらいの方がウケがいいのかな。
途中、適度に休憩を取りつつ15時には宇和島に到着。家の近くのGSで「ハイオク満タン」をコールしたが、何かすごく勿体ないような気が・・・・・それはいつもレギュラーだから(笑)
心配していた燃費だが、合計で264キロ走って23.9リッターだった。リッター約11キロという好成績!普通の2リッターNAならこれぐらいが妥当だが、以前から燃費が悪いと言われていたレガシィにしては良すぎるぐらい。
ただ、何度も書いているように今回のルートはどこもほとんど信号がなく、燃費を悪化させるストップ&ゴーが少なかったという背景もあるので、街乗りでこの数字を期待するのは無理だろう。乗り方にもよるが、オーナーレポートとかでは遠出で7〜8キロ、街乗りで5〜6キロという意見が多いようだ。
家に着いてから無事に、そして素晴らしい走りをしてくれたB4に感謝しつつ洗車を行った。オデッセイから考えるととっても洗いやすいのでラクチン。夕方、愛媛スバルさんが引き取りに来てくれてB4とお別れ。
もうちょっと貸してくれない?
この文章は2000年春に書いたものです。
実質、一日足らずのミニツーリングだったが、このページのタイトルにもなっている「春を訪ねて足摺岬」には満足出来た。ここはもうすっかり春!四国はここから春が来るのだ。
今回のメインだったB4の総合評価だが、返却するときに『ああ、もっと乗ってみたい』と思ったことから全体的に好印象だった。いくつか辛口な事を書いたが、やっぱり基本性能がしっかりしているためにクルマ全体の評価を落とすことはなかったようだ。
昔の生活四駆レオーネと違い、今回のレガシィセダンはスポーツ4WDを全面に打ち出しているが、このスポーツという言葉に裏切られることなくドライビングを楽しめるのではないだろうか。スポーツカーというと居住性が犠牲になり車高を落としてスポイラーで飾って・・・というのがあるが、このセダンは家族も十分受け入れてくれるだろうからお父さんが家族からボイコットされる心配もないだろう。
「スポーツカーに乗りたいけど2枚じゃ、ちょっと」走る楽しさを求めているもののそういうことで悩んでいるお父さんにぴったりだと推薦しておこう。このB4に対抗出来るセダンと言えば今のところトヨタのアルテッツァぐらいかな?これはFR色を強く出しているクルマらしいので4WDとはまた違ったドライビングを楽しむことが出来そうだ。
それでは次回の(次回があるかどうかは不明)試乗レポートを乞うご期待。
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