アマチュア無線のお話
なんで今さら・・・という感じもしますが、2000年夏に4級アマチュア無線の試験を受けました。
海外と交信がしたい!な〜んて、素晴らしい目標があったわけでもないのですが、以前に受験し損ねていたので
ただなんとなく・・・m(_ _)m(こんなこと書くと真面目に取り組んでいる人からは怒られるだろうな)
試験自体は小学生でも受かる内容なので、どうということはないのですがその時の様子を少し書いてみました。
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プロローグ そもそもなんで今頃アマチュア無線なのでしょうか。これだけ情報インフラが整備されつつあるのにわざわざ古典的な技術を使わなくても・・・というご意見もあるでしょうが、無線は無線で有線にない楽しみもあります。 今どうしてもやりたい事というのはないのですが、小学校高学年ぐらいから中学生の間にBCLをやっていました。BCLというのはブロードキャスティングリスナーズの略で文字通りラジオを聴く人達です。海外の短波だけでなく国内の中波などもワッチします。で、BCLの醍醐味はなんといっても遠くの局を捉えて受信レポートを書いて送ると局からお礼として『ベリーカード』を送ってきてくれることです。局ごと、地方ごと、国ごとに様々なベリーカードがあって見ているだけでも楽しいものでした。 子供が書くレポートですから、当然日本語ですし聴く放送も日本語放送です。海外の放送では季節や電波状態によっては普段入らない放送も聴けてハマるとこれが病みつきになるのです。 20世紀最後のオリンピックがあるオーストラリアの放送では冒頭に『ワライカワセミ』の鳴き声が聞こえるのですが、ノーマルの受信施設ではなかなかワッチ出来ずに屋上に通販で購入したアンテナを設置してやっと聴けた経験もあります。アンテナ設置だけでも子供のする事ですから、たぶん半日以上かかったかも。ケーブルを引き込んで自分のラジオから鳴き声が聞こえたあの感動!全身が震えるような感動を今でも覚えています。あの純粋な気持ちは一体どこに・・・・・(^^;) |
試験前 こういう地方では試験自体が頻繁に行われていないので、一度逃すと数ヶ月待たないといけません。ある日、たまたまWeb上で確認すると申し込みがその週末まででした。「おお〜こりゃいかん」ということで本屋に直行。申込書が付いた参考書を購入するためですが、どこにもない!『資格』のコーナーはたしかここなんだけど・・・仕方なく店のお姉ちゃんに聞くとパソコン関係の書籍に混じってひっそりとありました。地味にひっそりと・・・・です。 本当は本屋に行く前に無線関係の店にも数件まわってみましたが、既にアマチュア無線の取り扱いをやめていたり店自体が廃業していたりしていたのです。もう、これだけでは商売として成り立たないのでしょうか。廃業していると思われる店の表には無線機メーカーの錆びた看板だけが寂しく掲げられていました。 昔は『キングオブホビー』として子供から大人までの趣味の王様と言われたハム。この衰退ぶりには唖然としました。たしかに今の環境を考えると無線は必要ないのかもしれません。メールは手軽に送れるし、ケイタイはほとんどの人が持っていますし、どうしてもトランシーバーなるものを使うのはツーリングやスキー場でしょうか。その場合にも免許不要の特定小電力タイプで十分届きますので、あえて免許を取ってというケースは希でしょう。そのくせ免許を取っても運用には数々の制限があって間違っても『誰でも気軽に』という感じはしません。私にはアマ無線の『本来あるべき姿』を論じる資格はありませんが、このままだと一部の少数マニアだけの趣味となってしまうような恐れは十分にあるのではないでしょうか。 問題は法規12問、無線工学12問です。法規とか工学とかいうととっても難しく聞こえますが、小学生も多く取得していますからそのレベルは想像つくと思います。パラパラっと見て「ん〜こりゃ前日でいいや」と楽観。これが後で痛い目に遭うことも知らずに。 |
試験当日 試験は午前11時からです。およそ100キロ離れた試験会場に行くために早起きをしました。今どきマークシートなんて・・・いっそのことWeb上でやってくれたらいいのに。あっそれじゃ試験にならないか。 試験場付近にはパーキングがないのでクルマは実家に停めて電車で移動。めったに電車に乗らないのですが、たまに乗るととっても新鮮な感じがします。驚くべきはその速さです。当然といえば当然ですが、信号も渋滞もありませんからあっという間に到着。ガソリン代や駐車場代を考えるととっても効率のいい移動手段かもしれません。そんなことに今さら気が付くなんて・・・ 予定よりかなり早く到着しましたが、他にすることもないので試験会場へ行くことにしました。「こんなに早く行っても開いてないんじゃ」という予想はあっさり裏切られ、会場のビルのロビーでは参考書片手に黙々と勉強している集団がいます。大人数人と中学生10人ぐらいでしょうか。後から考えると大人の方は学校の先生だったのかな? そういえば今は夏休み中。熱心だな〜と感心しつつ「今頃参考書を見ているようじゃ頼りないな」なんて偉そうな事を考えながら会場のフロアーへ行くとまたまたビックリ。会場前の廊下には20人ぐらいいて会場内も20人以上の人がいます。それもみんな判で押したように勉強しています。 「おいおい、そんなに難しいのか?」急に不安になりましたが、筆記用具と小銭だけしか持ってきていないので今さら勉強することも出来ず、廊下でタバコを吸って時間を潰すことにしました。あの集団の中で参考書を持ってきていないのはひょっとして私だけ?ここら辺に志の低さ(?)を感じます(爆) まだ40分以上もあるのですが、することもないので会場内の自分の席に着きます。「多くて10人ぐらいの会場」を予想していましたが、優に100人以上入れるスペースがあります。着席しても周りはみんな勉強していますので邪魔にならないようにしばし寝ることにします。朝早かったのとエアコンが効いていてすぐに夢の中へ・・・・・・。 起きたのはテーブルが揺れたためです。隣の人が来たようで、周りを見回すと会場はほぼ満員状態。もうこれ以上寝るとやばいので何気なく人間ウォッチングをしていました。 ケース1.熱心なお父さん お父さんと男の子(小学校2〜3年生でしょうか)が入ってきました。 受験番号を確認して子供の席を見つけようとウロウロしていますが、子供の方が一足早く見つけてしまいます。着席すると子供のリュックから参考書らしきものと問題集を取り出して机の上に置きます。受験票を所定の位置に置いて筆記用具を手渡してなにやらアドバイス。もちろん聞こえませんがたぶん『時間いっぱいまでこれとこれを使って勉強してなさい』とでも言っているのでしょう。 お父さんは自分が受験するがごとく一通り確認した後、会場の外へ出ました。あぁ、あのお父さんは既にハムをやっていて子供にもその素晴らしさを教えようと今日受験しに来たんだなあ。親子で共通の趣味を持つとはいいことです。羨まし親子愛、でも、ちょっと過保護かな? ケース2.何するの? さっき起こしてくれた隣の人はなんと若い女性でした。別に年齢や性別に制限はありませんからいいのですが。ただ、私にしてみれば珍しかったもので・・・と、周りを見るとこれが結構います。 ガングロ系もいます。OL風もいます。お母さんもいます。さすがにおばあちゃんの姿は確認できませんでした。彼女達は一体何に必要なのでしょうか。純粋にアマ無線を楽しむため?それとも誰かに言われて仕方なく?それとも資格マニアか?隣の女性はどう見ても20歳前のようでとっても興味があって聞いてみようかと思いましたが『変なオヤジ』と思われるのがイヤで断念しました。ただ、化粧品のニオイはキツかったです。 ケース3.お母さんったら 私の席の斜め前方に男の子2人を連れたお母さんの姿がありました。さっきのお父さんと違い、一緒に受験するようで一生懸命勉強しています。後ろの席には長男、その後ろに次男(あくまで推測)が座っているのですが、子供達は余裕で座っています。お母さんは問題集を見ながら時々後ろのお兄ちゃんに『これはなんでこの答えになるの?』とか聞いています。お母さんったら、もう遅いんじゃない? ケース4.燃える中高年 会場の席は全部で80ありました。やはり学生(小学生から高校生ぐらい)が一番多くて全体の半分以上でしょうか。先ほどの若い女性&お母さんも2割ほどいます。そして残りはそう、たぶん私も強制的に入らされる中高年です。気持ちは若いのですが、さすがに高校生では通用しませんから(爆) その中にもう仕事をリタイヤされたと思える方がいましたが、非常に熱心に取り組んでいました。たぶん勤めていた頃もああいう感じでお仕事をされていたのでしょう。ハムをやってみたいけど資格を取るヒマもなかったモーレツ社員だったのか・・・←と、勝手な想像はどんどん膨らみます。 この方は試験前の説明でどうもマークシートが初めてだったらしく記入の仕方が分からなかったようです。試験官の一人がずっとマンツーマンで説明していました。お父さんが受験した時代にはマークシートなんてなかったでしょうからいいんですよ、ゆっくりとして下さい。どうせ試験時間は有り余るほどあるのですから。 |
試験問題 試験時間は60分です。が、大抵の人は退場許可の出る30分で出ます。問題自体はヒネってないし過去に出た問題のくりかえしなので真面目に取り組めば普通は合格します。それに四択ですから最悪わからなかったとしても確率から言えば25パーセントで正解が出ます。 24問終わったのは試験開始後5分後でした。あとはボーっとするだけ、あまりの簡単さに見直しもせず問題に落書きをして遊んでいました。学生連中はさすがに頭の回転が速いのかみんな終わっているようです。こういう年齢の幅が大きい試験では年齢と終了時間には一定の正比例の関係があるな・・・などとくだらない事を考えているうちに退出許可時間がきましたので答案を出して会場を後にします。私の隣の女性、それに熱心な中高年の方はまだ取り組んでいました。良い結果をお祈りします。 |
その後 まあ、結果から先に言うと合格しました。でも、ちょっとあぶなかった(>_<) 帰ってから答え合わせをするとナメていたためか無線工学で2問勘違いをしています。あと2問はマジで分からなかった!やっぱり前日の一夜漬けではこんなもんでしょう。これからチャレンジされる方は是非真面目に取り組むことをオススメします。合格は12問中8門正解が必要なのでまさにギリギリセーフ。落ちたら恥ずかしかったな・・・・・ ちなみにこのページの冒頭に書いていますが、以前に取り損ねたのは不合格になったからではなく受験するのが面倒になったので受けなかったためです。あの時さっさと取得していればよかったのに<(_ _)> 今は免許の申請中です。これから開局手続きをしてコールサインをもらえれば晴れて送信が出来るわけです。というわけで今はまだ本当のアマチュア無線家ではありません。運用はモービルなのでセッティングをしないといけないのですが、折しも残暑厳しくその気力がありません。もう少し涼しくなったらやろうと・・・・やっぱり最後まで志は低いままでした(爆) |
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この後、秋にはちゃんと開局できました。めでたしめでたし(^O^) |