危険物取扱者乙4への道

このページは大きな勘違いから始まった資格取得に向けての奮闘記です。


行方不明の免状 編


社会人になってからもう35年以上となる。工業高校在学中に合格してからその間一度も使わなかったとはいえ、大事な免状だから捨てたりはしないと思うけど、危険物取扱者乙種第4類の免状が出て来ない。何度も引っ越しを重ねてきたせいで、どこかに紛れ込んでいるかも分からないが、全ての箱をひっくり返して調べるなんて到底無理な話だ。

「必要なときに限って出て来ない」普段使わない物のあるあるである。

疑わしいところは調べた。でも、ない!
こうなったら紛失したということで再交付してもらおう。というか、そもそも再交付って出来るのか?どこに申請すればいい?以下はその顛末だ。もし同じようになくしてしまった方の参考になれば幸いである。

冒頭に”社会人になってから一度も使わなかった”と書いたが、この免状は氏名等に変更がなくても10年以内に撮り直した写真に書き換えが必要だ。だから、私の探していた免状はとっくの昔に効力を失っていることになる。
実際にはその資格で仕事をしていたわけではないので法令違反にはならないけど。

再交付で検索したら「消防試験研究センター」という機関がその任を請け負っているようだ。申請に必要な物は下記の通り。

1.書き換え・再交付申請書(HPよりダウンロードできる)
2.破損や汚損した現有免状(今回は紛失なので必要なし)
3.証明用写真1枚
4.本人の確認ができる書類(運転免許証等)
5.再交付された免状を郵送してもらうための封筒と切手(宛名記入済みで、392円ぶんの切手を貼っておく)
6.手数料1,900円(事前に収入証紙を購入して申請書裏面に貼っておく)

危険物取扱者免状の種類
そもそも危険物取扱者の資格とは?乙4(おつよん)ってなに?
一般的には馴染みがないだろうが、危険物を扱う上で必要な資格となっている。扱える種類や範囲によって大きく3つに分類される。

甲種:危険物取扱者において最強の免状。乙種のすべてを扱うことができるし保安監督もできる。ただし受験するには乙種に合格してから2年以上の実務経験があるか、大学等で化学を専攻して卒業していることが条件。

乙種:扱える危険物の種類によって第1類〜第6類まで区分が分かれている。作業に立会うことが可能。一番ポピュラーなのが第4類で”通称おつよん”と呼ばれている。このページのテーマでもある。受験条件はない。

丙種:上記の第4類の中でも扱える範囲がもっと狭くなる。こちらも同じく受験条件はないが立会い資格がない。

今どき甲・乙・丙なんて時代遅れも甚だしいと思う方は「松・竹・梅」とか、コンサートとかでいう「S席・A席・立ち見」と読み替えてみよう。ランク付けでの意味はほぼ一緒だからイメージしやすいかも。
申請書に必要な項目を記入して同センターを訪れた。二度手間にならないよう事前に入念な準備をしていたのでスムーズに受付が完了した。記憶が曖昧な箇所は適当に記入せず、現地で相談してから書き込む方が良さそうだ。
「この当時の記録は電子ではなく、紙媒体でしか残ってないので再交付には3週間以上掛かるかも。」
至急必要なことはないので大丈夫。3月19日にセンターへ提出した。
3月19日に提出 4月6日に書留が届く
3週間以上掛かるかもと言われていたが、結構早くて4月6日に自分で書いた書留郵便が届いた。
届いた免状は車の運転免許証みたい。随分と立派になったものだ。これからは無くさないようにと・・・
うん?ちょっと待て。何かがおかしい。これからがこの話しの本編となるのであった。

恥ずかしい勘違い 編

実際に届いた危険物取扱者免状
高校卒業以来、一度も見たことがないとはいえ自分が取得した資格を間違えるとは(悲)
届いた免状を見て目が点になった。乙4だと思っていたのが丙種だったのだ。恥ずかしい!
考えてみたら高校生の分際で敢えて難しい試験を受けるはずがない。範囲が狭くなるといっても
同じようにガソリンを扱えるのだから丙種で十分だったのだ。勉強もしたくなかっただろうしね。

これはマズイ。同じ危険物取扱者の資格とはいえ丙種では通用しない。この状況では乙4を取るしかない。

上のカレンダーで書いたように免状が届いたのが4月6日の土曜日だ。すぐに試験の案内をネットでチェックすると、恐ろしいほどの偶然でこの日から6月に行われる受験の受付開始となっているではないか。紙媒体でも申請可能だが、時間が掛かるのでその日のうちにネット上で電子申請を行った。

ちなみに、同試験は実施される回数が少なくて愛媛県の場合、年に3回ほどしかない。
(今年度は6月23日、10月27日、2月8日)つまりこの機会を逃すと次は秋まで受験できない(注:他の都道府県でも受験は可能)ことになる。何を勉強したらいいのかも分からないうちに申請だけ先に済ますという冒険を冒しつつ、無事に仮申請受付のメールが届いた。

次の日にさっそく受験料4,500円をコンビニで支払った。これで一安心・・・ではない。これから勉強しないと!(笑)



勉強を始める前に 編

勉強を始める前にもう少しこの危険物取扱者試験の内容についておさらいしておきたい。
試験は全部(3分野)で35問、五者択一のマークシート方式になっている。試験時間は2時間。各分野それぞれに60%以上正解しないと合格できない。トータルで60%ではないので要注意だ。各分野と問題数は下記の表を参照してほしい。
科目 問題数 合格ライン
基礎的な物理学・科学 10問 6問以上の正解
危険物の性質と消火 10問 6問以上の正解
危険物に関する法令 15問 9問以上の正解

60%の正解率で良しと聞いて「なんだ、意外と簡単じゃん」と思ったアナタ。この試験を請け負っている消防試験研究センターが発表している近年の合格率は乙4でなんと3割前後しかない。仮に100人が受験したら70人は不合格になる計算だ。
もっとも、この数字自体は乙4受験者数が飛び抜けて多いことと、学校や職場で無理矢理受験させられているだけの人数が入っているので(当然そういう人はほとんど試験勉強してないことが容易に想像できる)合格率ほど難易度が高い訳ではなさそうだ。

ただ注意すべき点は、結構な割合でイヤラシイ引っかけ問題があるからよ〜く問題を読まないといけない。それと計算問題もあるのでじっくりやっていったら時間切れ!なんてことにもなる。なので時間が掛かりそうな問題は後回しにしておくのが良さそうだ。
例題
  第一石油類について正しい説明は下記のうちどれか。
   1.ガソリンの引火点は−40℃で、発火点は100℃、燃焼範囲は1,4%〜7.6%である。
   2.ガソリンは褐色に着色されていて、液比重は1以下である。
   3.第一石油類は1気圧において引火点が12℃未満のものをいう。
   4.アセトンは水溶性である。
   5.トルエンの蒸気は無毒である。


おわかりだろうか、答えは「4番」だ。アセトン?見たことも聞いたこともない物質だろう、私もだ(爆)。

この問題は「正解はどれか」という消去法で比較的解きやすい問題なので助かるが、中には「全部で誤りがいくつあるか」なんて意地悪な設問もあるから厄介だ。真面目に勉強した方が良さそうだ。



教材を購入 編

ネットで購入した参考書
大昔にはなるが工業高校での私のクラスは工業化学科だった。こういった試験には多少有利である。
といって、そんな錆び付いた学歴を盾に丸腰で試験に挑むほど能天気な人間ではない。それなりに
事前調査をした結果、ネット上で評価が高かった上の2冊を購入することにした。
左:ツールボックスから出ている「10日で受かる乙種第4類危険物取扱」 1,728円
右:公論出版から出ている「乙種4類危険物取扱者試験  平成30年版」  1,800円

2冊を購入して数週間経った現在の感想として・・・

左の「10日で受かる〜」はカラーページでイラストも多用して分かりやすい作りになっている。おそらく化学や物理に拒否反応を示す人にもなるべく抵抗なく学習してもらえるようにという配慮だろう。内容もどちらかといえば最小限のことを記載している感じだ。言い換えるとすべてを網羅して100点近くを目指すのではなく、合格ラインの60点以上を短期間でマスターしようとしている。今まで化学にまったく関わりが無かった人にはとても良いと思う。ただ、どんなに頑張っても10日で合格するのは至難の業だろう。

右の過去問をベースに作っている本は正反対の紙面となっており、カラーは一切使用していないしイラストもほとんど無い。多少大袈裟に言うとページにはびっしり文字が並んでいるので、とにかくページの進み具合が遅いし、読んでいると眠たくなってくるのが最大の欠点だ。昔の質実剛健的な参考書といったら分かりやすいだろうか。そのぶん内容は広く深い。

その他にも役立つ教材がネットにはあった。
無料の学習動画であったり、過去問だけを掲載して繰り返し学習できるようにしてたりと、いろいろあるので自分に合ったものをチョイスすればいいだろう。パソコンだけでなく今はスマホでも学習できるようなので、ちょっとした空き時間にも活用できそうだ。

ただし、完全に否定するわけではないが一部の有料教室はいかがなものか。授業料が○万円だと!思わず”入会する人いるの?”と言いかけた。試験の難易度と比較して、あまりにも暴利だ(難関の甲種受験なら分かるが)。多少お金が掛かってもこういった有料サービスのほうが安心という方は事前によく費用対効果を検討されることをお勧めする。

結局、現在の私の学習スタイルは・・・
  1.「10日で受かる〜」をメイン。繰り返し読んでいても苦痛が少ないのでひたすら読み返す。
  2.とはいっても飽きるので、その間に味変的効果を狙って隣の過去問集をやってみる。
  3.すぐに眠たくなるので、動画投稿サイトにアップされている乙4関係の無料学習動画を視聴する。
  4.1本終わったら、休憩という名目で他の動画を見始める。
  5.気が付けばもうご飯の時間。今日は頑張ったなオレと、自分を褒めて風呂の後レンタルDVDを鑑賞。

という具合に記憶力の衰えも手伝って一向に進展しない。でも心配無用、なぜなら
記憶力が無くても時間がある!

お金が無くても時間がある!

(^_^;)
次回試験日は6月23日(日) 合否発表は7月10日
上段でも書いているが、都会と違って地方では受験の機会がとても少ない。直近の開催は6月23日だ。
試験の結果はもちろん報告させて頂くが、もしいつまで経ってもこのページが更新されなかった時は・・・(-_-;)



試験を受けてきた 編

例年ならとっくに梅雨入りしているはずの6月末、試験当日は多少曇ってはいたものの雨に降られることなく受験会場に到着した。会場は地元の愛媛大学だ。仕事では何度か来たことがあるが、こういった用事で来るのは初めて。綺麗なキャンパスのベンチに腰掛けたら気分はもう大学生〜(爆)
中高校生の頃から真面目に勉強していたら、今頃は「懐かしい母校」だなんて言えただろうに・・・え、言えたか?

勉強嫌いの若者達よ、「微分積分が社会に出て役に立つのかよ!」とか「化学反応式なんて知らなくても生きていけるじゃん」とかイキっている若者達よ。この年齢になって苦労しているおっさんが声を大にして言いたい。
人生、何が役に立つか分からない。今がしんどいと思っても将来きっといいことがあると信じて取り組もう。
大学には車が停められないので電車で行った。久しぶりに市内電車にも乗った。ちょっとした観光気分だ。
クルマに乗り始めた頃はこの市内電車がとっても邪魔だったけど、市内を移動するにはとても便利な交通機関だ。どこまで乗っても大人160円という低料金はずっと前から値上げしてないのでは?

今ではヨーロッパなどでよく見かけるトラムみたいなお洒落車輛に順次切り替わっているが、できることなら子供の頃に乗った窓枠や床が木製の”ザ・昭和”車輛を残してもらいたい。松山の街にはそちらの方がよく似合うと思うけど。
オーストラリアのトラム
写真はオーストラリア、メルボルン市内を走る無料トラム。
受験風景なんてことを考えながら乗ること20分足らず、電車は市内の繁華街を抜けて大学近くに到着した。
早めに行くようにしていたとはいえ着いた時間は、集合時間の1時間も前だった。
年を取るとどうしても行動が早め早めになるんだもん。

集合時間:9時30分
試験開始:10時〜
     (開始後35分経過したら退出可)


さすがにまだ誰もいないだろうと思って試験会場がある棟の前まで行くと(集合時間前には入室できない)それでも数人の学生がたむろしていた。彼らの邪魔にならない所にあるベンチに座って、私も最後の悪あがきをする。

でも、こんな瀬戸際になって入ってくる情報ってほぼ無いけどね。
ほとんどの人は決められた集合時間までに入ったが、やはりどこにでも時間にルーズというか猛者がいるもので、試験開始5分前に入室してきた者もいた。ある意味、やるね〜(^_^;)
午後の試験なのに間違えて入ってきた人も、ある意味、やるね〜!そんな”あわてんぼうさん”に危険物取扱いの試験って、どうなん?

受験生はざっと見た感じ、8〜9割方が大学生や専門学校生といったところか。私の世代の人は数人しか見なかった。というか、今の私からしたら職員や監督官のほうが若いんだから仕方ない・・・。

答え合わせもしてないくせに偉そうなことも言えないが、問題は予想していたよりは比較的簡単だった。そのせいか、退出可能な35分を過ぎると続々と教室を出て行く若者達。どうやら彼らにとっては普段の授業のほうが遙かに難しいのだろう。

練習問題の頃からつまらない勘違いで間違うことが多かった私は、念には念を入れて何度も見直していたら周りには誰もいなくなっていた。制限時間5分前になってやっと諦めて(?)退出した。

肝心の問題だが、意味すら分からない問題が1問、2択まで絞ったが最後まで怪しい問題が3〜4問あった。
仮にそのすべてが間違っていたとしても計算上は合格しているはず。結果は7月10日午後から発表されるとのこと。



結果報告 編

上段でも書いているとおり、10日午後から消防試験研究センターのサイトで合格発表を見ることができる(ただし、結果のみで科目ごとの得点は分からない)。仮にサイトへのアクセスが集中して見えなくても、数日以内には正式通知のハガキが届くようになっているので、それまで待つという楽しみ方もできる。

私は待てなかったのでサイトを見に行った。

結果は予想どおり合格だった。あとは科目ごとの得点がどれぐらいだったかというところだ。ハガキを待つ。
結果通知のハガキ
自分でもビックリするぐらいの高得点だった。正解率から計算すると
法令で1問、物理化学で1問の計2問しか間違わなかったことになる。
ここまで良かったら逆にどこが間違ったのか、そっちが気になるよね〜(^_^;)
我が家には発表の3日後ぐらいにハガキが届いた。
届くのをただボーっと待っていた訳ではない。合格していることを前提に、事前に免状の書き換え申請を準備していたので、さっそく申請を行った。

準備するものは
・ この結果通知書兼申請書のハガキ。
・ また2,900円分の収入証紙。
・ また392円を貼った返信用封筒。
・ 旧の免状。

以上を郵送(簡易書留で)するか、消防試験研究センターの窓口に持って行く。私は郵送した。
新しく令和表記になった免状
先述の合否発表からざっと一ヶ月弱。もうすっかり忘れた頃(笑)に新しい免状が届いた。
行方不明の免状を再発行してもらうことから始まったこのシリーズもこれで完結としたい。



この文章は2019年4月〜8月頃書いたものです。
尚、文中の再交付手続き方法や申請先は都道府県によって微妙に違うようです。
これから申請しようと考えている方は、事前にご自分の地域で確認して下さい。



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