レガシィツーリングワゴンGT30で行く
「四万十源流の旅」
2002年早春、スバルレガシィのセダンであるB4とツーリングワゴンに6気筒版が登場しました(今まではランカスターのみ搭載)。
さっそく、この新しいレガシィに乗って本当に『日本の6気筒スポーツはレガシィが変えるのか』を検証したいと思います。
今回の旅の舞台は四万十源流。一泊二日の短い旅ですが、天気にも恵まれて素晴らしい景観を楽しむことが出来ました。ただし、花粉がすごかったですけど・・・(笑)
2002年2月23日(SAT)朝から快晴
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前回(2年前の足摺岬への旅)の時は大雨(春を訪ねて足摺岬を参照)でしたが、今回はずっと快晴でした。雨の旅もある意味いいものですが、やっぱり天気がいいと気持ちいいです。今日は3月下旬から4月初旬の陽気だったこともあり、車内は汗ばむほど。もう春がそこまで来ているようです。 午前中、旅の準備をしているうちに四国スバルさんがピッカピカのツーリングワゴンを持ってきてくれました。 「おぉーこれがGT30かぁ」と言っても外観からすぐに6気筒バージョンと分かるのは、リヤーのバッチだけ。グリルがわずかに違うようですが、オーナー以外は区別出来ないレベルでしょう。3リッターのNAですから当然ボンネットのエアーインテークはありません。ターボ車の挑戦的なスタイルもいいのですが、個人的にはインテークがないほうがスッキリして好感が持てます。 足まわりは基本的にGT−B E−tuneUと同じ。ただし、6気筒になって若干の重量増となるのと、バランスが変わるためにセッティングは変えているそうです。そう言われれば、ターボ車よりかは柔らかいかな?でも知らなかったら同じセッティングだと思ってしまうレベルです。2気筒増えて頭が重くなったはずですが、そんなことを全く感じさせないのは水平対向というレイアウトのおかげでしょうか、それともスバルの技術力でしょうか。恐るべしレガシィ、恐るべしスバル(笑) 出発まで時間があったので近所を一回りしました。第一印象は「なんというスムーズなエンジンじゃ!」ということです。ターボのモリモリと湧いてくるトルクも刺激的ですが、NAの滑らかな回転フィールも魅力的です。一昔前の水平対向のドコドコというサウンドは一切聞こえてきません。ちょっと寂しいかな?レガシィ乗りの多くがマフラーを交換している訳が分かります。 |
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早めの昼食を取って13時前に出発。 ここ宇和島からR56を南下して高知県宿毛市へ入ります。宿毛市からR56は東に折れて中村市へ。 大方町という所まで来ると右手に太平洋が見えてきます。前述しましたように今日はとっても暑かったので、途中の佐賀公園(土佐西南大規模公園かな)でアイスタイム。 至る所でホエールウォッチングができるようになっていますが、この時は残念ながらクジラの姿を確認することは出来ませんでした。でも太平洋の雄大さに感動!瀬戸内海育ちの私たち家族にとっては水平線というものに慣れていないんですよ。 恐ろしいぐらい静かでスムーズなGT30ですが、気になる点もいくつかありました。これは私だけかもわかりませんが、最後までシートとステアリングとペダルの位置がしっくりきませんでした。こちらに合わせるとあちらが遠くなったりして。シート(電動!)やステアリングをいろいろ調整してみたんですが・・・・・。 それとそのシートですが、ファブリックと本皮の組み合わせで非常に高級感がある反面、かなり臭います。お借りしたクルマがまだ1,000キロちょっとしか走っていない新車同然の状態だったせいもあったのかもわかりません。貧乏人の私たち家族にはやはりレザーは向いていないようです。(悲) また、エンジンが静かすぎるばっかりに他の音(駆動系と思う)が気になりました。減速時に特に聞こえます。新車で馴染みが出ていないだけなのか単なる個体差なのか、すぐには判断できませんがせっかく他の部分が優秀なだけに残念でした。 |
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215/45ZR17インチという 薄っぺらいゴムにもかかわらず ビックリするぐらいの奥深い 乗り心地 ちなみにホイールは ハイラスター塗装 |
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バックドアー左にある バッチ これを見ないと6気筒版とは わからない(はず・・・) |
ひたすらR56を道なりに走り、窪川町を越えて七子峠という所にさしかかった頃、大野見村の看板が見えてきます。ここでR56を離れ県道を役場に向けて走ります。 今日の宿泊先は『ログペンション四万十源流の家』という所。大野見村役場、というより青年センター(?)のすぐ先を右折して10分ぐらいで着きます。途中、分岐点には看板がありますので迷うことはありません。一部、道が狭くなっていますので地元車優先で・・・と思っていたらほとんど向こうが停まってくれました。手を挙げてお礼をします。 県道に入ってからはさすがに路面の荒れている箇所があるのですが、がっしりとしたボディとしなやかな足まわりのおかげで不快感はありません。オデッセイのタイヤの半分ぐらいしか厚みがないのに、なんでこんなに乗り心地がいいのでしょうか。 前述しましたようにツーリングワゴン版のGT30、セダン版B4のRS30ともにターボ車の足まわりに準じていますので、お馴染みの黄色いビルシュタイン製ダンパー(フロント倒立式)を装着しているせいでしょうか。路面の凹凸をいかにドライバーに伝えないように苦心したり、柔らかいことこそが高級車の証と信じてセッティングする某国産メーカーの考え方とは大きく違うと思います。 4WDという駆動方式、塊感を感じさせるボディ剛性、路面の状況がシートを通して確実に伝わる足まわり。道が荒れたり積雪や雨天などの悪条件になればなるほど、このクルマの価値が分かるようになるのではないでしょうか。 |
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ログハウス風の本館。中は木の香りがいっぱい。 | バンガローも2人用から12人用まで完備。 |
ログハウス風の本館とバンガローが数棟あります。夏には家族連れなどでいっぱいになると思われますから予約はお早めに。 今日は日差しが強く、いくら暑いといってもまだ2月末でしかも山の中ですから日が傾くと急激に気温が下がります。上の写真は暗くなる前にと日没直前に撮ったのですが、この時にはもうジャンバーなしでは外に出られませんでした。バンガローも風情があっていいのですが、今の季節にはまだちょっと早いので本館の部屋に入ります。 ![]() この料金でこの料理、うちのやつと「こんなに出して儲かるんかな?」と言ったほど。味も絶品!普段あまり魚を食べない私が骨をしゃぶってました(笑)。 子供たちはお約束通り『お子様ランチ』でしたが、これも美味しそうです。小さい子供連れでも安心できます。また、宿泊しないで温泉のみ入ることもOK。湯船はそれほど大きくはありませんが、木の香りが心地よい温泉でした。 本館宿泊料 大人:6,000円 子供:5,000円 入浴料は大人:300円 子供:100円 バンガロー使用料 2人用:3,000円 4人用:6,000円 5人用:7,500円 6人用:9,000円 12人用:15,000円 |
2002年2月24日(SUN)この日もやっぱり快晴
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普段はなかなか起きない私が朝の冷え込みに思わず目を覚ましたほど。山の天気をナメてはいけないということか?せっかく早起きしたので部屋の窓から撮った写真が上の画像です。 2Fには階段を上がってすぐに『いろり』があります。お茶やお煎餅も置いてあり、居心地の良い空間を作っています。 これまた美味しい朝食を頂いた後、このいろりでお茶を飲みながらぼ〜っとしているとナニやら数冊のノートを発見。いわゆる旅の日記といいましょうか、自由帳といいましょうか、宿泊した人たちがこの宿の思いや旅の記念に自由に書いているノートです。時間が経つのも忘れて読みふけってしまいました。 全国津々浦々と言えば少々大袈裟ですが、いろんな県からいろんな人がいろんな目的で来られていることにビックリ。中には素人とは思えないほどの文才を発揮している方もおられ、読んでいるだけでも楽しめますからここに泊まられた時には是非このノートにカキコをオススメします。 今日の予定はここからちょっと寄り道をして横浪黒潮ラインへ行きます。 大野見村からきのう通った県道を戻り、R56へ出ます。R56を左折して七子峠へ。相変わらず素晴らしい景観を楽しみつつクルマはあっという間に須崎市に到着。ここでも標識がありますからそれに従って右折すると横浪黒潮ラインへ行けます。 ここは半島になっていますので先っぽまで行きぐるっと1周する形でワインディングロードを楽しみました。よく回るエンジン(でもチョー静か)のおかげでアップダウンもなんのその。こういう道ではATじゃなくMT仕様で乗りたいものですが、残念ながら6気筒版にはMT仕様はありません。GT30もRS30もどちらかというとグランドツーリングをイメージしているようですが、グランドツーリングにMTが合わないことはないわけで、今後是非ともMT仕様を追加してもらいたいと思います。 アウトブットの部分ばかり目が行ってしまうのですが、ハンドリングも以前の不自然な軽さがなくなりGOOD。人によって好みが分かれるところでしょうが、ズシっとくる手応えのほうが安心感があるように思えます。同様にブレーキもスポンジーさはなくなり、タッチ、効きともに良好。決して軽い方ではない車体をバランスよく強力に停めることができます。もうインプレッサ用ブレーキを移植する必要はないでしょう。 |
![]() このGT30の場合、車両本体価格は300万ちょっとします。キツい評価かもしれませんが、300万もするクルマの内装には見えない点(インパネまわりだったりシフトまわりだったり・・・)が気になります。国産T社はこのへんの処理がうまくて高級感あふれる作りをするのですが、ユーザーの見えない所で姑息(失礼!)に手を抜いているので好きになれないのです。 ![]() 「食」をテーマにしているらしく、レストランの食事はもちろん、おみやげ屋さんの品物も美味しそうな物ばかり。タイムランチ(?)は豪華な刺身定食でしたが、リーズナブルな価格で絶品の刺身ですからここに立ち寄ったときには是非オススメします。 食後はレストラン横にあるアイスクリームもセットでどうぞ。ミルクたっぷりでコクがあるけどキレがいい(う〜ん、どっかで聞いたコピー)アイスですから、甘いのが苦手な方も大丈夫。 |
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帰りはここ窪川町からR56を離れ、右折してR381へ入ります。この道には有名な『ライダーズイン四万十』があるためか、バイクとよくすれ違います。ほとんどが白車線(つまり追い越し可能)で見通しがいいのですが、いかにもネズミ捕りロードに思えてセーブ運転。実際にはやっていませんでしたけど、いったん捕まると赤キップは確実?所々民家もありますのでスピードにはご注意を・・・ 最後の清流と言われる四万十川を左に見ながらの景色も海岸線とはまた違った良さがあります。途中、いくつもの沈下橋を発見しながらGT30は快調に愛媛県を目指します。県境になる西土佐村あたりから道が細くなり、工事中の箇所も増えてきました。トラックなど大型車との離合が難しい場所もありましたので、無理をせずに譲り合いの精神で。 クルマはその後、松野町に入ります。予定よりかなり早く愛媛県に戻ってきました。余談ですが、有名な『森の国ホテル』や『おさかな館』はここ松野町にあります。松野町から隣の広見町へ、そして宇和島へ帰ってきました。またまた余談ですが、広見町にある成川渓谷に『高月温泉』という休養センターがあるのですが、ここの温泉はオススメです。森林の中に温泉があって安らぎ度120%(笑)レストランや宿泊施設、ロッジなども隣接しています。 |
![]() リッター11,4キロという好成績!信号が少なく渋滞もなかったとはいえ3リッターの排気量から考えると上出来ではないでしょうか。(エアコンはほとんどオフ)ちなみに同じ3リッターのV6オデッセイは約9キロちょっとです。 その後15時半前に帰宅。二日間にわたって一緒に旅したGT30を綺麗に洗車してあげました。 さて、二日間にわたってこのクルマに接したわけですが、はたしてコピーどおり『日本の6気筒スポーツはレガシィが変える』ほどの実力があったのでしょうか。 たしかにこのクルマは第一級のスポーツ性能を備えています。エンジンの吹け上がりや振動は直6やV6を遙かに凌いでいますし、ハンドリングやブレーキ性能も優秀、それにスバルがもっとも得意とする4WDというパワートレインは他メーカーに対して大きなアドバンテージになると思います。じゃあ、このクルマで決まりかと聞かれると、高すぎるプライスを含めちょっと引っ掛かる点もあります。 そもそも日本の小型車枠内に収まるサイズで、はたして3リッターも排気量が必要かという疑問があります。(3リッターにしたかったので6気筒になったのではなく、6気筒にしたから結果的に3リッターになったという過程はわかりますけどね) また、とても良くできたエンジンではありますが、以前に乗ったB4RSK(ターボ車)ほどドキドキ感がなく、振り回しているという実感は少ないように思いました。まあグランドツーリングというカラーでは妥当な線でしょうけど。 ただ、そういう細かいことを抜きに好きか嫌いかと聞かれれば間違いなく好きですし、愛車にしたいと思うほどです。実際には金銭的な問題もあってすぐには無理ですが・・・。あえて点数を付けるなら100点満点で78点かな? ですから、このクルマが買えるようになるまでに『5MT仕様でシートは普通のファブリック、内装は明るめのベージュ色』モデルを是非設定していただきたく、ここにスバルさんへ切実なお願いをしてページを終わらせていただきます。 四国スバル様、ありがとうございました。またの機会にもよろしくお願いします。(←ずうずうしい?) |