トヨタハリアーで行く
「四国横断800キロの旅」
大雨と低温に見舞われた2003年夏。
異常気象はいったいどこまで進むのか気になりつつ、この春先に新型にバトンタッチされたハリアーに乗って四国を旅してみました。最初はSUVなんて(-_-;)と侮っていた私ですが・・・・・
2003年8月12日(TUE)
どんより曇り、でも蒸し暑い
天気は相変わらず良くありません。
冒頭にも書いたように今年の夏は大雨のせいか暑くならない夏で、冷夏になる予想です。折しも先週、台風10号が日本列島を縦断して各地に大きな被害が出ました。長雨とこの台風のせいで東北かどこかは梅雨明け宣言しない所まで出てくる始末。エアコンの使用が減って電気代は少なくて済みますが、それ以上にいろいろな方面で悪影響が出ているようです。
暑くない夏、寒くない冬・・・異常気象に歯止めは掛かるのでしょうか。
のっけから悲観的なコメントでしたが、クルマは決して悲観的ではありません。今回はトヨタのハリアーが相棒、ミニバンでもステーションワゴンでもなくSUVの本流です。朝、トヨペットさんへクルマを取りに行きますが、さすがにもうライオンはいませんでしたとさ。。。
今回のハリアーを簡単に紹介すると、北米で大ヒットした先代ハリアーの二代目になります。
先代はカムリベースで都会的センスを兼ねたRX300。ピックアップトラックの泥臭さがなく、アメリカ人から絶大なる信頼を得ているレクサスブランドのおかげもあって商業的に大成功でした。悪く言えばニッチマーケット?ただ、このクルマの影響が後にメルセデスから『ML』BMWからは『X5』をそれぞれ誕生させることになります。
モデルチェンジしてクルーガーベースのRX330と数字は大きくなったものの、パッと見は旧型と大きな違いが見つけられない、いわゆるキープコンセプトモデル。数字どおり本国・・・このクルマの場合、北米では3,3リッターが載ることになったのですが、日本では従来通り2,4リッターと3,0リッターの二本立てで(2004年後半にはハイブリッド車が追加予定)今回のハリアーは2,4リッター版のFF、Lパッケージというグレードです。後述しますが、オプションで装着されていたバック&サイド&フロントモニターが大活躍でした。
オーナーの方にはお叱りを受けそうですが、実はこのハリアーというクルマ、乗る前はそれほど期待はしていなかったのですm(_
_)m だって、誰が言い出したか『SUV界のクラウン』・・・おのずとどういうクルマか想像付きますよね。安楽なだけのクルマにいい印象はなかった訳です。ところがいざ乗ってみるとイメージとは大違い。好印象は私が年を取ったせい?
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足摺岬近くの公園で |
四国山脈越えの前の檮原で |
最新式DVDナビやらMD&CDチェンジャーの操作に戸惑いつつも、決して分厚いマニュアルを開けようとはせず、直感だけで操作するも何とかなりました。バックとサイドはわかるけどフロントまでカメラがいるの?という疑問を抱きながらもナビの高性能ぶりに驚き。うちのオデッセイは旧型の、それもCD-ROMタイプのナビで最近の高速道路を走るとクルマは空を飛んでいます(笑)時代は確実に進歩していますね。
10時過ぎに愛媛県宇和島市を出発、R56を南下して一路高知県を目指します。時期的に帰省ラッシュを覚悟していましたがまだ本格的に始まっていないようで快適にクルージングを楽しめました。家族5人(うち3人は子供)で2,4リッターという排気量はいささか走りに不安を覚えるのではと心配しましたが、それは杞憂に終わりました。決して軽くない車重、フル稼働のエアコン、定員に近い人数と条件的には不利な面ばかりですが、ハリアーのよく走ること!3リッターもあるオデッセイよりよっぽど気持ちよく走ります。やはりトヨタの(というよりアイシン製の)ATは世界一か?ただし平坦路のみ。

宿毛市からR321に入りそのまましばらく走ると土佐清水市に到着します。
ここから足摺スカイラインへ入りますが、やはり上り坂はちょっとキツイようです。でもオデッセイもこんなもの。3リッターもいらない?ただ、左右独立制御型とはいえエアコンの効きはオデッセイのほうが有利。いつ何時でも恐ろしいぐらいよく効きます。
背が高いことによる不快なロールも心配していたほどではなく、子供たちも車酔いせずに足摺岬へ到着しました。
岬の駐車場は駐車待ちのクルマで渋滞。県外ナンバーが多く見えます(自分たちも含めてですが)幸いタイミング良く空いたスペースに停めることができましたが、これほど観光客が来るのですからもう少し駐車場を広げて欲しいものです。
ここで昼食を取ってから第38番札所「金剛福寺」へお参り。
500円を払って納経してもらい、外人さんたちと同じように記念写真をバシャバシャ・・・それにしても薄曇りというのにものすごい暑さです。さすが四国最南端!冷夏、冷夏と世間は騒いでいますが、ココだけはホントの夏でした。そういえば冬でもめったに氷点下にならないという温暖な地域、春が一番先に来るというのも頷けます。
お寺を後にしてしばらく走ってから、お参りしたものの景気よく写真を撮っただけで本堂に参拝していないことに気が付きました。が、また駐車待ちの列に並んでクルマを停めて行く勇気はありません。結局そのまま次の目的地に行きましたが、何とも御利益のないお参りになってしまいました(-_-;)
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足摺岬の展望台から灯台を望む |
良質なうなぎで有名な広見川 |
ここまで走ってきたハリアーの感想ですが「さすがレクサス車、やっぱりトヨタ車」です。
北米ではメルセデスやBMWと真っ向から張り合えるほどになったレクサスブランド。日本名セルシオやウィンダム、アリストやランドクルーザーなどに代表される高級車のブランドになっています。ですから好き嫌いはともかく、ドアーを開けた瞬間、または運転席からの眺めの作りのうまさは世界一でしょうか。
その反面、乗り味やスイッチ等の操作感などからメインマーケットを北米に絞ったことも否応なくわかってしまいます。さすがと感心するもやっぱりと思ってしまう所がトヨタ的クルマ作りの原点・・・純粋な(?)日本車をお望みの方は少し違和感があるかもわかりません。
細かい点はいくつか気になるものの、個人的にはおおむね好印象です。ハンドリングを云々するクルマではありませんのでこの程度のラフさがSUVにはちょうどいいのでは?それでも普通の道を常識的な速度で走る分には操舵感はしっかりしています。ただ、路面からのインフォメーションは多くなく、外界との距離感を感じます。もっとも、それは大きなタイヤのせいもあるのでしょう。

全体のサイズはほぼオデッセイと同じぐらいですので(全長は短く幅がちょっとだけ広い)取り回しについては問題ありません。ただし、ラウンドしているボディ形状のため見切りは悪いです。
それを補う意味もあるのでしょうが、先述のバック&サイド&フロントモニターのおかげで死角も少なく、先ほど行った岬の狭い駐車場でも大活躍でした。特にサイドモニター(左ドアミラー下部にカメラあり)は駐車が苦手な女性にとって強力なアイテム!白線をまたぐ駐車も溝にタイヤを落とす心配もありません。
トヨタの、というより今や世界のモノ作りの標語となった『カイゼン』。ATシフトレバーやステアリング上にあるオーディオスイッチの操作は問題ありませんが、一つ改善して欲しいのが足踏み式サイドブレーキの解除方法。トヨタ車はリリースレバーがなく(すべてのクルマがそうではないでしょうが)解除はさらに深く踏み込む必要があります。
私は基本的にPレンジに入れるだけでサイドブレーキは使いませんが、走行中に誤って踏んでしまった場合には解除するのに危険ではないでしょうか。リリースボタンもしくはレバーの装着を強く希望します。
後席に陣取った子供たちからはドリンクホルダーがないと不満をぶつけられつつ(中央席バックレストにありますが3人座ると当然使えない。これも要改善)トンネルが多い山間部、オートライト機能の便利さと従来のハロゲンランプと比較して劇的に明るいディスチャージヘッドランプに助けられて快適に帰路に着きました。
2003年8月13日(WED)
今にも降りそうな曇り、でも相変わらず蒸し暑い
今日も天気は良くなくて午後からは雨の予報、早々に出発します。
子供たちは友達と遊ぶ約束があるらしく気ままな一人旅になりました。年々一緒に行動する機会が減ってうれしいやら寂しいやら・・・

さすがに主要国道は帰省ラッシュが始まっていますので、3桁国道を通って四国山脈を横断する事にしました。だって、都会派を売りにしているとはいえ間違いなくSUVですから少しはオフロードも走ってやらないとかわいそう(?)
宇和島からR320を通って広見町→日吉村→高知県檮原町(ゆすはら町)に入ります。ここまでのルートはほとんど信号もなく快適なドライブが楽しめます。ただ、追い越しには要注意、対向車もかなりのスピードで走っていますのでそのつもりで。
この檮原町内でオススメなのが道の駅。雲の上のホテルや雲の上の温泉とかが併設されていて癒しのスポットです。温水プールは木の香りが心地よく、いやな消毒液のニオイはしません。温泉は露天があって周りを山に囲まれていますのでセミの声を聞きながらぼーっとするのが極楽極楽・・・(笑)ただ、今日は時間の都合でプールも温泉もお預け。
ここからR440に折れて再び愛媛県境の地芳峠を目指します。このルートは工事中の区間が多く、道幅も狭いためご注意を。先週の台風の影響で道には木々や石が散乱していますが、最低地上高が185ミリもあるハリアーはノープロブレム。乗り降りにはちょっとツライかと思える高さですが、こういう場面では精神的な余裕が出てきます。パンクしそうな障害物だけを避けてハリアーは快調に山のてっぺんを目指して走っていきます。
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こういう工事区間が数カ所あるR440 |
軽いステアリングと見晴らしの良いドライビングポジションで狭い山道もなんのその。対向車があっても例のサイドモニターで左端いっぱいに避けることができるためタイヤを落とす心配もありません。都会的イメージで売っているハリアーですが、案外こういう悪路にこそ真価を発揮できるのでは?と思えるほどです。先述のとおりこの装備はオプションで優に30万円をオーバーしてしまう高価なモノですが、たとえオーディオのランクを落としてでも装着の価値があると思いました。
それまで木々に遮られてきた視界が急に開けると、そこはもう県境の地芳峠。高知県側も愛媛県側も一望できる絶景のポイントです。ただ、この日は曇っていて山頂付近は霧も出ていましたので、残念ながら眺望はいまいちでした。
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姫鶴平の看板の後ろに風車が2基 |
気温18度!の天狗荘前にて |
この一帯は『四国カルスト』と呼ばれる所で、至る所に牛が放牧されていて、なんとものどかな風景が広がる所です。もう、20年以上も前になりますが、まだバイクに乗っていた頃にこの姫鶴平で毎年開催されていたバーベキュー大会に参加したことがあります。この地方名産の柳谷牛を食べようとかそんなフレーズだったように思います。その日か前日に解体された肉をみんなで食べるのですが、気が付けば周りは牛だらけ・・・牛に囲まれて牛肉を食べる、何とも言えないこの感じ。昔のことですから詳細は不明ですが、たしかにおいしかったことだけははっきり覚えています。(←オイオイ)
霧が出ていたせいもあるのですが、天狗荘に設置されている気温計を見るとなんと18度。冷夏とはいえ下界では連日30度前後もあるのにここはホントに日本?と言いたくなるほどです。半袖半ズボンでは寒くて風邪を引きそう。もちろんクルマの窓も閉め切っています。しばし別世界の気分に浸りつつ、空腹を覚えたので「天狗うどん」とかいう名前の昼食を取って、愛媛県側へ降りることにします。
いったん地芳峠に戻り、再度R440を今度は愛媛県柳谷村方面へ走ります。このルートも工事中の箇所が多く、また夏休み中のせいかクルマの往来が激しく、所々で渋滞がありました。離合できない狭いところに無理矢理突っ込んでくる○○な輩が多いこと(悲)大型クロカン車や高級車にありがちですが「先に行ったもんの勝ち」的発想はやめましょうよ、どうやっても物理的に無理なことは無理なんですから。結局どちらかが下がらないと通れないので、相手が通り過ぎるのを待っていても時間的には変わりませんけどね。
このR440は柳谷村の落出というところでR33に合流していますが、最近トンネルができたようで道が広くなって合流地点も綺麗に整備されていました。もう何年もこのへんを走ってなかったので、その変貌にビックリ。
そのR33を久万町方面に向かって美川村まで行き、そこから右折して面河村を目指します。本当はこのハリアーの実力を石鎚スカイラインで試そうという思惑でしたが、途中の電光掲示板に無情にも『通行止め』の表示が。再三文中に出てくる台風のせいで土砂崩れがあったとのこと、残念ながら諦めるより他に手だてはないようです。
余談ですがその昔、車を替えると必ずこの石鎚スカイラインに来ていました。ここは私のプライベートテストコースだったのです。その当時は有料で数百円払って走っていましたから、下の料金所まで降りるとまた上がって降りて来るという、料金分は走ろうと躍起になっていました。冷静に考えるとその分ガソリン代が掛かっているんですけどね。
ともかくここは非力なエンジンや軟弱な足周りの車(もちろんバイクも)は途端に顎を出す格好のコース。急な下りもありますから制動力も重要になります。街中や平坦な道ではわかりにくいクルマの特性もここに来ればよくわかるのです。
通行止めの石鎚スカイライン元料金所前で写真を撮って面河渓に寄ります。ここも昔から癒しのスポット。シーズンはもちろん夏ですが、春や紅葉の秋もオススメです。相変わらず観光客が多い中、あまご釣りをするわけでもなくぶらっとマイナスイオンを浴びただけで、さっさと道後温泉がある松山市に行くことにしました。
いつもよりクルマの量が多いR33の三坂峠を下って松山方面に走ります。
勾配が5%前後の下りでは、さすがに制動力が足りないかなと思う場面がありました。車重があるので仕方ないか・・・。こまめにシフトチェンジしてエンジンブレーキを有効に利かせます。
写真は美味しい水で有名な松山市南部にある「杖の淵公園」、四国山脈から流れ出した地下水がここら辺を通っているそうで、公園の近くにはたしか(有料で?)わき水を汲める水汲み場があったように記憶しています。撮影のため数分間だけ正面に停めさせてもらって、すみやかに移動しますm(_
_)m
次に訪れたのはプロ野球のオールスター戦も行われた「坊ちゃんスタジアム」。
市内中心部のお城の堀にあった市営球場が、老朽化と再開発のため市内南西部に建て替えられました。
現在、隣接して武道館が建設中です。久万町で切り出した大木を使って豪華絢爛?に建てられていますので、写真的にはこっちのほうがよかったかな?こけら落としにはあの有名な柔道の山下選手(元)が来られるそうです。
混雑する市内を走った感想ですが、高いポジションのおかげで前方の状況を早めに把握出来ますし、2,4リッターとはいえ直4のピックアップの良さで、他車に後れをとることはありません。
また、大型クロカンや昨今の外国製SUVみたいに、むやみやたらに大きくないので離合も気を遣わなくてすみます。
日本人の平均体格やクルマはどんどん大きくなっているようですが、そもそも道路の幅は昔から変わってないのですから、混雑するのは当たり前。渋滞が大きな問題になっている都市部にこそ大幅減税、または優遇処理で軽自動車クラスを推進するべきだと思います。もっとも、クルマの大きさの問題だけではありませんけどね。少なくてもこのハリアーは3ナンバーサイズとはいえ許容範囲内でしょう。
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設備が綺麗な伊予灘PA |
後ろに広がるのは松山市内 |
いよいよ、旅も終わりに近づきました。
今まで高速道路を走ってなかったので、松山ICから松山道へ乗ります。ほんの数分で伊予市にある伊予PAに着きます。ここらへんからの眺めは最高!松山市内が一望できます。天気のいい昼間もいいのですが、オススメは日没前後のトワイライトタイム。ただし、走行中のよそ見運転にはご注意を。
低速域では楽だったハンドリングの軽さも高速ではそれが災いします。どうも落ち着きがありません。ふわふわとして法定速度以上に出すのが怖い・・・。スポイラーの有無とかでも変わってくるとは思いますが、もう少ししっとり感といいましょうか、オモステ感といいましょうか、タイヤやサスペンションを含めたセッティングの余地があると感じました。
最初、ぎこちなかった私とハリアーの関係も、この頃になると長年付き合ってきた相棒のようにしっくりきています。う〜ん、欲しいな〜(^o^) 室内スペースやユーティリティの面で、多少我慢することも必要かと感じましたが、全体的にはさすがレクサス車、そつなくまとめられて手が込んでいます。同クラスのSUVと比較すると幾分割高ですが、乗っている間の満足感や下取りの値段とかを考慮するとじゅうぶん元は取れる(かな?)・・・。天気には恵まれませんでしたが、このハリアーには大満足させられた旅でした。
この後、数日間乗って別れを惜しみつつトヨペットさんに返却。しばらくぶりに乗った我がオデちゃんが全然違うクルマのように感じます。いやぁ、たまには違うクルマに乗るのも大事だ〜と思った次第で・・・ハリアーが「私の愛したクルマ達」に載る日も近いか?
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