レガシィアウトバックで行く 室戸岬の標識
「室戸岬への旅」     
行程図

2000年にB4を、2002年にはツーリングワゴンをそれぞれ借りて旅に出た。
さすがにもうないだろうと思っていたが、心優しい四国スバルさんの計らいで今年2006年も一泊二日のツーリングに出掛けることが出来た、本当に感謝感謝。さて、どこに行こうか・・・この時点では予定なんてまったく決まってなかった。

怪しげな空 梼原の郵便局前にて
一部晴れてはいるが山には黒い雲が・・・ 梼原の郵便局前にて

2000年には高知県足摺岬へ「春を訪ねて足摺岬」参照
2002年には同じく高知県の物部村へ「四万十源流の旅」参照
今回も高知県?いやいや、他に良い所はないかとガイドブックを買ってきて研究する。候補は九州、中国地方、山陰といったところか。一泊なのでそんなに遠くには行けない。

まずは九州。子供の頃から修学旅行や家族旅行でよく行ったが、大人になってからはご無沙汰。雄大な阿蘇のやまなみハイウェイを一度走ってみたい!しかし旅費を計算すると予算を大幅にオーバーしてしまうことが判明。
八幡浜から大分までフェリーで渡るのが一般的なのだが、そのフェリー料金がメチャ高いのだ。残念ながら九州行きはほんの10分ほどで幻となった。

今年も猛暑、だったら高原に行こうということで秋吉台や大山、鳥取砂丘などを検討してみるも、これも橋の通行料と高速道路代がバカ高いので断念。四国の外に出るのは時間的にも金銭的にも本当に大変なのだ。

結局、四国内で行ったことがない場所を探すことに。とは言っても、もう大抵のところには行っている。生まれ育った四国だから仕方ないのだが、それでも徳島方面には馴染みがない。場所は高知県になるが、位置的には徳島県にほど近い室戸岬に決定した。

アウトバックというクルマ
SIドライブコントロールダイアルスバルの屋台骨を支えるレガシィシリーズ、今は3種類の構成となっておりセダンのB4、ワゴンボディのツーリングワゴン、そのツーリングワゴンをベースに車高を上げオフロード色を加味したのがアウトバックとなる。
グランドワゴン→ランカスター→アウトバックと名前は変わってもそのコンセプトは昔から変わってはいない。
全長×全幅×全高  4730×1770×1545  と扱いやすいサイズ。

今年5月にビックマイナーチェンジを行いD型と呼ばれる型式の目玉は、なんと言っても「SI-DRIVE」というシステムだろう。簡単に言うとセンターコンソールにあるダイヤル一つで3つの走行性能を切り替えられる代物だ。2リッターターボと3リッターエンジンにのみ搭載される。
インテリジェントモード:
どこがインテリなのか分からないが、俗に言う省エネ運転が半強制的に行われるモード。メーター内に点灯する「ECO」ランプとゲージが哀愁を誘う。おかげで2リッターNA並の燃費になるのはいいが、確実にストレスは溜まる。大きいトレーラーを牽引しているようなモッサリ感といえば分かってもらえるだろうか。

スポーツモード:
上記のインテリジェントモードではかったるい時に選ぶ。その名の通りスポーツ走行も出来るモードになっているらしいが、このモードがレガシィ本来の姿だろう。今回、全行程の8割〜9割はこのモードで走った。他のモードは必要ないと感じたからだ。

スポーツシャープモード:
スポーツモードを過激にしたまったく意味不明なモード、どういう時に使えばいいのか最後まで分からなかった。無理矢理、下のギヤーを選択してエンジン回転数を高めているだけ(実際のコントロールはそれだけではないのだが)のような気がした。公道で使うときには強い理性や自制心を求められる。

2006年8月19日 曇り&雨、それもどしゃ降り

前日まで動きの遅い台風10号に覆われていたせいで、今日も時折雨がパラつく生憎の天気。平地はともかく山間部での落石や土砂崩れが心配だ。だが、少々の障害物なら200ミリもある最低地上高のアウトバックにとっては問題ないはずだ。

受験生の長男を連れ愛媛県鬼北町を通ってまずは高知県梼原へ入る。

急な勾配が続く山道なので、インテリジェントモードではまともに登ってくれない。なんだこりゃ?このモードはあくまでも平坦路専用と考えたほうがいいだろう。早々にダイヤルを左に回してスポーツモードにする。

借りたモデルは3リッターの水平対向6気筒エンジン、恐ろしくスムーズに回るし安っぽい振動やノイズは一切ない。アイドリングの時にもステアリングとかにほとんど振動が伝わってこないのは大したものだ。SUVというより高級車に積まれてもおかしくないほどのエンジンだと思う。ただ、3リッターという排気量から想像されるほどのトルクは感じられなかった。

梼原からR197を走り津野町経由で太平洋側の須崎へ出る。

ここまでの山中はワイパーも効かないほどのどしゃ降り!だが、スバルの4WDは絶対の信頼性を誇る。下りの時にはステアリングポストに付いているパドルシフトを操作してマニュアルでシフトダウンしたほうがいいだろう。ステアリングから手を離さないで行えるので、カーブが続く山道でも安全に操作出来る有効なデバイスだ。

しかし、ブリッピングコントロールは余計なお世話。シフトダウン時、エンジン回転数を合わせるために強制的に回転数を上げるのだが、そのせいでどうしてもエンジンブレーキの効き始めるタイミングが遅れる。そのためパドルを操作してから数秒間(実際は1〜2秒)はクルマがスーっと滑走してしまうのだ。普段からマニュアル車を運転している人はこんな下手くそなシフトダウンはしないだろう、少なくてもスバリストと呼ばれる人達は。最初、自分の車のつもりでシフトダウンしたら前のクルマに急接近して冷や汗をかいた。

雨がやんだR56をそのまま走ると土佐市を過ぎ、混雑している高知市内に入る。

気が付いたらもう昼過ぎ、どこか適当な店はないかと走りながら道の両側を見ているが、天気が回復した土曜日の昼ともなればどこの店も混雑しているようでなかなか昼食にありつけない。道は知らないうちにR55に変わっている。先に進むうちに安芸市を過ぎ田野町に入ったので、ここで道の駅田野駅屋へ。かなり遅い昼食を取る。

道の駅田野駅屋 リヤーはスッキリしたイメージ
土佐くろしお鉄道の駅と併設する田野駅屋 一部クリアー化でスッキリした印象のリヤー

田野町まで来ると奈半利町は目の前。ごめんなはり線で有名な奈半利だ。この辺りのR55は信号も少なく渋滞もないし、太平洋沿いに海岸を走るようになるため綺麗な景観が楽しめる。あっという間に室戸市に入った。

このアウトバックにはチルト機能に加えてテレスコピックステアリング機能まである。運転席は8ウェイのパワーシートという贅沢さ。普通に考えれば細かい調整が可能なので、どんな体格の人にもフィットするはずなのだが・・・足を前に投げ出すという、普段とは運転姿勢が大きく異なるせいか、またはその調整をうまく使いこなせてないだけか、私は最後まで違和感を覚えた。

大きな標識どおりに国道を右折したらほどなく室戸岬に着いた。

まだチェックインの時間には早いのでいったん岬を通り過ぎ、室戸スカイライン(県道203号)を堪能する。展望台には風車があったが、台風の余波のせいか霧がひどく何を撮影しても綺麗に撮れない。諦めて岬の近くの喫茶店で休憩し、少々早いが今夜の宿「室○荘」にチェックインした。

宿については多くは語るまい。ネットで宿泊費の安い所を優先して選んだ結果なのだから。そもそも民宿なので贅沢を言ってはいけない。ただ、深夜1時過ぎに長男にゴキブリ退治をさせられたのは閉口したが・・・。

水平対向のエンジンや「SI-DRIVE」ばかりに目が行ってしまうが、レガシィの素晴らしい所の一つにその乗り心地が挙げられるだろう。
ロープロファイルのタイヤを履いていても懐の深い乗り心地を提供してくれる。段差を越えた時などにもビシバシといやな突き上げはなく、といってロールが大きくなるほど柔らかすぎず絶妙な味付けだ。それは過去に乗ったB4やツーリングワゴンでもそうだった。今回のように長距離を走るとそれがよく分かるだろう。見えない所にお金と手間を掛けている証拠。

制動もこの車重を考えると必要にして十分、剛性感たっぷりの踏み応えで走ること以上に停まることを真剣に考えた、いかにも真面目なスバルのクルマという感じがする。EBD付きなので情けないノーズダイブもない。

山中の道のためトンネルが非常に多かったのだが、HIDヘッドランプは非常に明るく助かった。また、アウトバックはバンパーに大きなフォグランプが装着されており斜め前方の視界も確保出来る。残念なのはコンライトの機能がないこと。

霧が出ていた展望台 室戸スカイラインから太平洋を望む
霧で真っ白だった展望台 スカイラインから太平洋を望む
民宿室○荘 快晴の日曜日
翌日の日曜日は台風一過の快晴 民宿室○荘前にて

2006年8月20日 朝は快晴そのうち雨、またもどしゃ降り

翌日の日曜日は朝から快晴、まさに台風一過だ。昨日、霧で何を撮ってもイマイチだったポイントで写真を撮り直す。今年も猛暑の年だけあって朝から強烈に暑い。

3リッター車には左右独立で温度調整が出来るフルオートエアコンが付いている。まさに高級車の装備なのだが、わざと左右で温度を変えてもその違いは体感出来なかった。

それにこのエアコンの温度制御はムラというか遅れがあって、日が当たって暑くなっても風量がアップしないくせに、その後曇りになった頃に急にブロアモーターが唸り出す始末。車内の温度検知だけでなく、日差しの強さも制御に入れるシステムが必要だと思う。面倒だろうが自分でこまめに温度や風量の調整をして「AUTO」はアテにしないほうがいいだろう。
また、エンジンを掛けた時に一緒に熱風が吹き出てくるのは勘弁して欲しい。炎天下、顔の前でドライヤーをかけられた気分だ。もう少しお利口さんになろう。

室戸岬からR55を北上し徳島県の道の駅「宍喰温泉」(ししくい)を目指す。

相変わらず快適な海岸線を快走し、リゾートホテル「ホテルリバーししくい」が併設された宍喰温泉に到着。予算に余裕があったらこういうホテルに泊まりたかったと二人の意見が一致した。ここで留守番の娘達におみやげを買っておく。

さて、帰路はどうしよう。いろいろなルートを検討し、この先の海部という所からR193に入り徳島の山中を走るR195に出ることにした。このまま北上を続け阿南や徳島市にも行きたかったが、今夕にはクルマを返却しないといけないので時間的に無理と判断して断念した。

海部川に沿って快適な田舎道を走る。この時点ではこの先にアクシデントが待ちかまえているとは分からなかった・・・。そういえば朝、快晴だった空が徐々に曇ってきたのは気のせいではなかった。

室戸岬にて ホテルリバーししくい
朝は快晴だった室戸岬 道の駅宍喰温泉に併設するホテル

惜しいかなボタンが小さいので使い勝手はイマイチだが、ステアリングに付いているオーディオのコントロールスイッチは重宝した。視線の移動も少なく手を離さないで操作出来るので安全でもある。
特に今回はソースがFMのみだったので移動するエリアごとにチューニングが必要だったが、サーチもそのボタンで出来てとても便利だった。

このクルマにはカーナビが装着されていなかった。普段はナビゲーションしてもらうほど知らない所には行かないので、それほど必要性を感じることもないのだが、この時ばかりは付いてて欲しかった。渋滞や通行規制などもリアルタイムに表示されるので無駄な装備ではない。

このままR193を走ると霧越峠という所を越えるはず・・・だったが、轟の滝との分岐点まで来ると「この先土砂崩れで通行止め」の標識!

せっかくここまで来たのに〜(-_-;)
おまけに大粒の雨が降ってきた。まさに泣きっ面に蜂状態。もしかしたら行けるかもと、試しに数キロ先に進んではみたものの路面状況と視界があまりにも悪く、安全第一を考えて引き返すことにした。
借りているクルマに傷でも付けたら大変だから。車両本体価格だけでも320万もする高級車、今の私に弁償する能力はない(悲)

来た道を海部まで引き返しR55に出る。日和佐を過ぎ北河内という所からR19へ。このまま走れば土佐中街道と名前が付いているR195、川口ダム付近に出られる。あぁ〜NAVIがあったら余計な回り道をしなくて済んだのに。

R195は信号もなく交通量も少ないが、道幅が狭いので要注意。所々工事をしているので交互通行も多かった。また、たまに落石や道路に穴があるので車高の低いクルマは下をヒットする恐れがあるので気を付けた方がいい。山の斜面からは滝のような雨水が流れ出しているのが不気味だった。

通行止めの標識が出ていた轟の滝分岐点 四つ足峠トンネル出口
左手に行くと轟の滝 四つ足峠トンネル出口にて

余計な回り道で時間をかなりロスした。奥物部で昼食を取って、さっさと南国市に入る。ここから高知自動車道へ。高知市内の混雑を避けるためだ。今では須崎東ICまで伸びている。所々2車線化になっているが、それでもまだ大部分が1車線。愛媛もそうだが高速道路の1車線は怖い。

須崎からは来た道を帰るだけ。道が空いている時や急な勾配の時に例の意味不明なスポーツシャープモードを試すもクルマの挙動がギクシャクするだけで、やはりメリットは感じられない。パドルシフトで下のギヤーを選んだほうがスムーズな走りが出来る。何より、せっかくの高級なエンジンが唸ってしまって台無しだ。

苦言ついでに言わせてもらうと、今の時代にサッシュレスドアというのはどうなんだろう。2ドアクーペのようなクルマならともかく、4ドアそれもセダンやワゴンでサッシュレスの意義があるのか。経年によるガタ付きや剛性の面で不安になるのは古い考え方の人間なんだろうか。サイドバイザーだって小さい物しか付けられないのに・・・。

予定より2時間ほど遅くなったが18:00頃に到着。

最近ビックリするほど高くなったハイオクを満タンに入れた後、2日間のお礼を込めて洗車をした。
今回の全行程、ちょうど700キロ。ガソリン量は61,5リッターだったから11,38キロ/リッターの計算となる。3リッター車で4WDということを考えたら非常に優秀な燃費だ。ただ、この数字は信号のない山道の走行が多かったのと、借り物という遠慮があって踏み込みも控えめだったという諸事情のせいで、普段の使用ではここまで伸びないだろう。

さて、次回があるかどうかは分からないが今度はドコ行こう・・・(*^_^*)


余談だが、ネットの書き込みとかを読んでいると実際に購入するときにはこのアウトバックでは2,5リッター車と3リッター車のどちらにするか意見が分かれている。(B4とツーリングワゴンでは2,0NAと2,0ターボと3,0)羨ましい悩みだが、今回2日間試乗した感じから私の無責任な意見では「2,5i-LLビーンエディション」をオススメする。理由は

1.シルキーな6気筒も捨てがたいが、2,5の4気筒でも十分だと思う
2.高いハイオクではなくレギュラーガソリンなので税金も含め維持費が抑えられる
3.「SI-DRIVE」はいらない、たぶんすぐ飽きる・・・
4.いろんな面で約90キロの重量差は結構大きい
5.アルカンターラ/本革のシートが標準装備
6.時代遅れかも知れないが個人的には好きなツートンのボディカラー

といったところだろうか、LLビーンは割高だがそれでも今回の3,0Rに比べれば安い。
2,5 i・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2,688,000円
2,5 i S-Style・・・・・・・・・・・・・・2,787,750円
3,0 i・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3,192,000円
2,5 i-LLビーンエディション・・・2,940,000円
3,0 i-LLビーンエディション・・・3,396,750円

微妙な価格設定で悩む楽しみ(?)も増えるだろうか。

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