依頼人 | ウォーキング・デッド | コロンビアーナ | コラテラル |
ゼロ・ダーク・サーティ | アウトロー | パーソンオブインタレスト | 007 スカイフォール |
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法廷モノは面白い。 特に陪審員制度を取り入れている国の裁判は、不謹慎な表現かも分からないが一種の”ショー”のようで、二転三転する裁判の流れを検察と弁護人が攻防を繰り広げる。国によって違うようだが、最終的にジャッジするのは判事ではなく陪審員なので、いかに彼ら彼女らを”その気”にさせるかが大きなポイントとなる。 逆に言うと、そうした法廷モノを映画として製作する場合、どれだけそのギリギリの駆け引き感を引き出せるかが成功の可否を握っていると言っても過言ではない。その点、この作品はじゅうぶん合格ラインに達していると感じた。 うまいなぁその時の感情を表現している表情や仕草が。 ある晩、容疑者が自宅に帰ると妻の姿はなく、代わりにベッドには大量の出血が。そこを捜査していた警察に即刻逮捕されてしまう。その弁護を引き受けた弁護士役がハ・ジョンウ(過去にこのコーナーでご紹介した「哀しき獣」で登場)だ。 遺体どころか有力な物的証拠は一切なく、あるのは状況証拠だけだが、なぜか有罪に揺るぎない自信を持って裁判に臨む検察のエリート検事。そこには過去の殺人事件が大きく関係していたのだ。 こういった法廷モノで結末をバラすほど野暮なことはない。 だからくれぐれもネタバレにならないように注意して書くが・・・裁判の緊迫したやり取りが光る作品である反面、所々設定に無理がある、もしくは強引にそっちに持っていたなと感じる部分が多少あったのが若干のマイナスポイントだろう。それに最後の展開は「たぶんそうなるだろうな」という予想を見事に的中させてくれた惜しい結末だったため、惜しくも 星2つ としよう。 ただ、そういったアラを気にせずに素直に「法廷サスペンス映画」として楽しむなら(それに韓国映画に拒否反応がなければ)じゅうぶん堪能できる作品で、120分強も上映時間があるとは感じさせない展開の良さだというこをお伝えしておこう。 |
今回は、ちょいちょいこのコーナーに登場する海外TVドラマシリーズを3つほどご紹介したいと思う。 まずはさほど期待してなかったけど、意外と面白かった「ウォーキング・デッド」を。 数多のゾンビ映画の中でも、人間ドラマに重きを置いた脚本やそのクオリティの高さからベスト3に入るのではないかと思うほど良く出来ている作品だ。B級ゾンビ映画にありがちな、スプラッター重視ではないところに好感が持てる。 ストーリーは、公務中に重傷を負った主人公の保安官が病院で目覚めたら周りは死体だらけだった・・・という、まるで「28日後」のようなオープニングで始まる。彼は妻と息子が待つ我が家へと向かうが、そこに姿はなく、代わりに”ウォーカー”と呼ばれるゾンビ達が街を徘徊していた。余談だが、作品中で誰もゾンビという台詞を口にしないのは何かの権利に抵触するためか? この後、無事に家族と再会できるのだが、同僚から死んだと聞かされていた妻はその同僚と・・・。 数話しかないシーズン1(短命で打ち切られることを考えてか?)は混乱の連続。続行が決まって本腰を入れたか、シーズン2で、とある農場に居着いてから人間ドラマが本格化する。安住の地かと思われたその農場にも無数のウォーカーが押し寄せてきて、彼らは散り散りになって逃げる・・・ところでシーズン2は終わる。ただ今、シーズン3待ちだ。 個人的にゾンビ映画は昔からジョージ・A・ロメオ監督の「ゾンビ」がバイブルだと思っている。 あのトロい動きこそゾンビであって、猛ダッシュをしたり表情を変えたりするゾンビはもう違うモノになってしまうのだ。間違っても、マイケル・ジャクソンと一緒に踊ったりしないのである。そういう意味では細かい点が引っかかるシーンもなくもないが、全体的には良く出来たTVドラマだということで 星2つ としたい。 それとは打って変わって、何とも残念な作品が下の「リベンジ」と「ユーリカ」だ。どちらも星ゼロ級だ。 リベンジ、その名のとおり綺麗なお姉さんが繰り広げる復讐劇だ。父親を陥れた関係者を1話で一人ずつ社会的に抹殺していく、というのがざっくりしたストーリーで、予告編はとても面白そうだったからレンタルしてみたが、DVD3枚計6話まで観たところで我慢の限界に達した。いろんな意味で勿体ない。 物語の設定もキャストも悪くなく、おそらく制作費もたっぷりかけているであろうと思われるのに、肝心の復讐劇がイマイチなのだ。彼女の美貌だけに頼ってないか?それにボスキャラの女帝ヴィクトリアが時々、松田聖子に見えるのは私だけ? 「ユーリカ」は準新作になったら借りようと思っていた作品だ。重くないSFモノのようで期待していたが、こちらはリベンジの3枚にも届かず、1枚観ただけでもうお腹いっぱい!(爆) 観るほうの頭が悪いせいなのか、次々起こる超現象が理解できないし、シリアスなのかコミカルなのかはっきりしないヌルい設定も気に入らない。で、結局面白くないから残りのDVDは観ないで返却してしまった。 そのうち「残念な海外TVドラマシリーズ」特集でもやろうかしら。 |
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凡人の哀しいところは、持ち上げられるとその気になってしまうことか。 ちょっと前まで親や先生から「勉強しろ!」だとか「いつまで外で遊んでるだ!」なんて小言を言われていたのが、就職して会社の一員になった途端、周囲の大人からは丁寧な言葉遣いと低い物腰で接してくれるようになる。 あれ?オレって偉くなったんじゃね? 春はそう勘違いする輩が増える時期でもある。ましてや職業柄”センセイ”なんて呼ばれた日にゃあアンタ、ふんぞり返りたい気分になるのも分からないでもない。『実るほど頭を垂れる稲穂かな』人格者になるほど謙虚たれという諺を、今後の戒めとして就職祝いに送ってあげよう。 さて本題。新社会人ではないものの、この人が頭を垂れているかどうか定かではないが、ハリウッド界隈では十中八九”センセイ”呼ばわりされているであろうリュック・ベッソンその人だ。名作の誉れ高い「レオン」や「ニキータ」の監督で、今回ご紹介する「コロンビアーナ」の脚本を手掛けている。 リュック:今回は大儲けできたレオンやニキータを超える大ヒット作にしたいねぇ。 監 督 :大丈夫でがすよ、センセイの手掛ける作品にハズレはございませんから。 リュック:そうかい?嬉しいこと言ってくれるじゃないか。キミ、名前はなんだっけ? 監 督 :いやですよ、トランスポーター3や96時間/リベンジでご一緒させて頂いたオリヴィエ・メガトンでがすよ。 リュック:おおそうだった悪いねえ、ボクは人の名前を覚えるのが苦手だから。 監 督 :お気になさらずにセンセイ、どうせこんなケチな野郎でげすから。 リュック:たしかに名前はメガトンだけど、キミの作品はメガトン級のヒットはしないねぇ〜ブゥハハハッ。 監 督 :さすがセンセイ、お上手!アハアハ、アハ・・・。 そういうやり取りがあったかどうか・・・たぶんなかっただろうが(笑)ストーリーはレオンとニキータをミキサーにかけて絞り汁に人工着色料を混ぜたようなモノだ。いい加減飽きたリュック・ベッソン流、ベタなアクションが押しつけがましい。それにリュック・ベッソンセンセイに気に入られることだけに腐心した(と思われる)監督の作り方も気に入らない。名作「レオン」の足下にも及ばない出来だ。 久々の星ゼロにしようかと思ったが、9歳のカトレアを演じた少女の可憐な演技に敬意を表してなんとか 星1つ とした。題名はそのまま「カトレア」のほうが良かったのに。 映画界にも一般社会にも”センセイ”はいっぱいいるが、頭を垂れるセンセイはどのぐらいいるのだろうか。 |
いつも爽やかな好青年を演じているのが疲れたのか、役者としての幅をもっと広げたいと思ったのか真相を知る由もないが、トム・クルーズが悪役に初チェレンジした作品がコレ、2004年製作の「COLLATERAL」(コラテラル)だ。 ナイスガイな役ばかりで、おおよそ彼についてダーティーなイメージは湧かないが、この作品では非情な(でも非情になりきれない)殺し屋を演じている。その名はヴィンセント。LAの空港でジェイソン・スティサムから標的の資料を受け取った所からストーリーは始まる。 いや、正確に言うと、この後事件に巻き込まれることになる(題名のコラテラルとは巻き添えという意味らしい)タクシー運転手が女性検事補を乗せて、何気ない会話をする所がラストシーンへの布石となるため、ここがキーポイントか。 先述したとおり、トム君は悪者ぶってもやっぱりトム君だから(笑)6年間もフリーランスで殺し屋を生業にしてきたという設定のわりには”そんなことないやろ!”という、お約束のツッコミ箇所がいくつもある。普通、最初のターゲットを始末したことを目撃された時点で、このタクシー運転手の命はないはずだ。タクシーなんて他に掃いて捨てるほど走っているのだから。でも殺さないし、将来の夢まで聞いてあげるほどお人好しのトム君。 こんな調子でこの後、資料が入った鞄を奪われて捨てられるわ、仕事の邪魔はされるわ、タクシーは横転させられるわで、マイケル・マン監督の作品にしてはお粗末なストーリー展開となっている。「HEAT/ヒート」(’95年製作、シネマのページ8にてご紹介)は最高だったのに・・・。 ただ、そんな惜しい展開や陳腐で不必要な台詞の羅列とは反対に映像は素晴らしいと感じた。 物語がLAの一夜に限られているので、当然ながら映像は夜景中心となるが、それがとても美しいのだ。それにトム君の擁護になるが、彼のガンファイトは見応えあるし、クラブ内での格闘シーンも体格で不利になる大男らを難なくねじ伏せているのもカッコイイ。 ツッコミどころは大都会の夜が明けるラストシーンまで続く。 この調子なら星1つが妥当なのだが、映像の美しさとトム君の銃の捌き方に免じて甘めの 星2つ とした。 |
今回ご紹介する「ZERO DARK THIRTY」(ゼロ・ダーク・サーティ、原題のまま)は、同時期に公開中の娯楽アクション映画である「ダイ・ハード〜」の対極に位置すると言っていいほどシリアスで、各々が何かを考えさせられる社会派の作品だろう。 というのもこの作品、冒頭から結構キツい。 晴れ渡ったニューヨークの高層ビルに旅客機が突っ込むという、まるで映画のプロモーションシーンを観ているような、現実のものとは思えないほどショッキングなテロ事件だった9.11。映画はこの事件から始まる。 とはいっても、旅客機が突っ込むシーンがあるわけでもなく、その数時間後に世界貿易センタービルが崩壊するシーンを入れたりもしていない。 画面は終始まっ暗のまま、実際の音声と思われるやり取りが数分間続く。でも、それを聞いている観客はみんなあの時のシーンをまっ暗なスクリーンに観ているはずだ。 キツいシーンはこの後も続く。 テロの関係者と思われる者に対する非人道的な拷問。心優しい方にとってはまさに目を背けたくなるような時間が過ぎる。勝手な想像だが、これでも映画だから多少映像に耐えうるシーンに厳選したのだろう。実際の拷問はもっと凄かったと思う。 アメリカが国の威信をかけて一人の男の所在を突き止めようとしているが、莫大な予算と年月をかけてもその居場所は分からないまま。その間に世界各地でアルカイダが仕掛けたと思われるテロが発生し、主人公のCIA分析官マヤの友人も自爆テロの犠牲者になってしまう。首謀者であるウサマ・ビン・ラディン殺害を固く心に誓ったマヤ。恐ろしいまでの執念で消えてしまいそうな細い糸をたぐり、ようやく”何者か”の隠れ家を突き止めるが・・・。 監督はあの「ハート・ロッカー」を撮ったキャスリン・ビグロー(女性として初めてアカデミー賞監督賞を受賞)だから、この作品も一種のアメリカや米国軍のプロパガンダかと思いきや、そうでもないことに気が付くだろう。 隠れ家に突入したシールズの隊員は男と見れば片っ端から殺害していく。それも子供や奥さんの目の前で。 基地に運び込んだ男の死体を確認するマヤ。驚くほど無感情にビン・ラディンだと確認するが、本当に確証はあったのだろうか。そして飛行機に乗り込んだ後の意味深な涙の訳とは。 ビン・ラディン追跡の10年間を凝縮したため、上映時間は2時間半を超える長編だ。気楽な戦争アクション映画と勘違いして観に行くと火傷をしてしまう危険性アリということで 星2つ としたい。 |
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あのトム・クルーズも、はや50歳。しかし、そんな年齢を一切感じさせないアクションがウリの「アウトロー」をご紹介しよう。 この作品、厳しいことを書かせてもらうならなんともテンポの遅い、言い換えると「リズム感が悪い作品だな」と。よって早々の残念評価である 星1つ としたい。 邦題は「アウトロー」だが、日本人がその言葉から想像するほど無茶苦茶な無法者の設定ではないし、想像を絶するほどアウトロー的暴れ方をするわけでもない。(まあ見方によればそう見えるシーンがなくもないが) これまた、このコーナーで再三指摘をしている邦題のミスマッチだろう。原題は主人公の名前どおり「ジャック・リーチャー」であり、もっと言うなら原作はリー・チャイルドという人のハードボイルド小説らしい。今後、シリーズ化を狙っているそうだが、それなら余計にこの原題のまま公開すべきだったのでは? 免許証やクレジットカードのみならず、携帯電話や着替えさえも持ってないアウトローがジャック・リーチャーその人だ。6発の銃弾で5人の無差別殺人事件が起こったことから彼は誰に呼ばれたわけでもなく(←容疑者が紙にジャック・リーチャーを呼べと書いたが刑事や検察が彼に連絡を取った様子もないし、そもそも連絡のしようがないだろ!笑)ふらり街にやってきて事件を捜査し始める。まあ、だいたいこの辺りから嫌な雰囲気は漂っていたのだが・・・。 リズム感が悪いと感じさせるシーンはこの後再々出てくる。地方検事の娘で女性弁護士でもある彼女とのやり取り。酒場で5人のチンピラに囲まれた時の長台詞。自動車部品店に勤めている女性が殴り倒される前の不必要な会話、などなど。 作品自体は残念な出来だったが、トム・クルーズファンとアメ車ファンにとっては星3つでも良かったかも。特に下のシボレー・シェベルSSがV8エンジンの図太い排気音を奏でながら、スタイリッシュなアウディA6とのカーチェイスを繰り広げるシーンは往年の米国映画を思い出させてくれるはずだ。このクルマ、カラーリングといいサウンドといい、すんごくカッコイイ。 ちなみにスタントマンやCGを使わず全てトム・クルーズが実際に運転したらしい。どうりでテールハッピー? 他のシーンは寝ていてもいいぐらいだが、この数分間と弁護士役であるロザムンド・パイクのざっくりカットされた胸元だけはしっかり観よう(笑) |
今回ご紹介するのは久々となる海外ドラマシリーズの一つ、「パーソンオブインタレスト」という作品だ。 以前からアチラのハイクオリティな作品には驚かされているが、この作品も全11枚観て損はしないと言っておこう。 天才プログラマーであり億万長者のフィンチが作り上げた犯罪予知システム。NSA(国家安全保障局)に入るすべてのデーターを解析し、マシンが”有用””無用”の判断を下す。有用とは国家に多大な影響を及ぼすテロや重大犯罪など。一方、小事と捉えられた無用は切り捨てられる。フィンチはその切り捨てられた無用に憤りを感じ、何とか犠牲者を救おうと模索する。 題名になった「パーソンオブインタレスト」とは、重要参考人や容疑者を表す意味らしい。 マシンを政府に引き渡す前にバックドアーを設定し、これからその容疑者になるであろう人物を特定できるようにしておいた。ただ、それが必ずしも加害者ではなく被害者になることもあるが、マシンはそこまでは判断できない。 フィンチには犯罪を未然に防ぎ、犠牲者を出さないようにするには信頼できる相棒が必要だった。そこで目を付けたのが死亡したとされている元CIAエージェント(詳しくはWebで!みたいな、よくある〜パターン)リースだった。彼らは該当する人物を尾行や監視をし、人命を救えるのか。 目の付けどころはとても良いと思う。とんでもなく未来のお話ではただのSF話しになってしまうので、こういう設定にしておけば、あとはネタを変えるだけで製作しやすくなるだろう。 ただ、今後の展開としてマンネリ化の恐れを感じたのと、脇を固める人物が甘いかなと感じた。舞台がニューヨークに限定されているので話しの広がりがないことも懸念材料だろう。 製作はお馴染みJJエイブラムスとジョナサン・ノーランのコンビ。向こうでの視聴率も好調だったらしく、冒頭で全11枚と書いたがシーズン2以降も製作が決定したとのこと。新作のうちは借りないけど、準新作になったら借りてもいいよ的評価で 星2つ とした。 |
今回はこの冬一番の大作、007最新作を紹介したい。 とはいっても、公開前から世界的に大人気なので既にご覧になった方も多いだろう。本当は公開直後すぐに鑑賞したかったが、その時間が取れなくて、とっくに旬が過ぎてしまったこの一月の中旬になってしまった。そのおかげというか、週末にもかかわらずガラガラの館内で他人に邪魔されずに鑑賞できたのは、ある意味ラッキーだったかも。 「あ〜ゼロゼロセブン映画ね。」 観る前から半ば諦めムードを漂わす方も少なくないが(残念ながら長いシリーズの途中、たしかに駄作が続いた時期があった)この作品は従来の007映画とはひと味違う作風となっているから試す価値はじゅうぶんにあると思う。ちなみにゼロゼロセブンではなくて「ダブルオーセブン」と呼ぼう。 例によって冒頭から激しいアクションの連続で観客の心を掴む。 潜入エージェントのリストが入ったHDDを何者かに奪われてしまった。それを取り戻すべく追跡劇が繰り広げられるのだが、イスタンブールの市街地をクルマやバイクのみならず、列車まで使って空間の広がりを持たせている。今の時代、ありきたりのカーアクションでは観客は驚かないから。 その後、予告編でもお馴染み、列車の上で格闘しているボンド向けて一発の銃弾が!鉄橋下の川に落下するボンド。もちろんこの冒頭シーンで死んだりはしないのだが、この非情なMの決断が後のボンドの感情に大きく関わってくることとなる。 ストーリーとしては奇をてらったものではないことが好印象だったし、人間味溢れる苦悩や葛藤を演出していたのも良かった。アクションも要所要所で入れてくるので、2時間越えの大作にありがちな間延び感もなく、実際の時間より短く感じることが出来た。こういうのは良い作品の条件だろう。 007映画と言えば「いろんなスパイギミック」と「ボンドカー」が欠かせないだろう。 今回は指紋認証装置付きのワルサーPPK/Sと無線機器ぐらいで、腕時計からレーザー光線とかが出たりするシーンはない。その代わり、クルマに関しては”これでもカー”(失礼!)というぐらい話題が多かった。 後半、倉庫から引っ張り出してきたのはアストンマーチンDB5だし、Mが公用車で使っているのはジャガーXJであり、先のイスタンブールではランドローバー・ディフェンダーがそれぞれ大活躍している。また、新しいMI6に連れて行かれるときにはさりげなくレンジローバーを使っているし・・・。 英国車のオンパレードの中、敵が乗っていた黒のアウディが横転してポシャってしまうところや、重機で潰されるクルマがVWビートルだったりするところに英国人気質を垣間見た気がする?(笑)ちょっと前の作品にBMW車をボンドカーに選んで大ひんしゅくを買った反省からだろうか。 最初違和感があったダニエル・クレイグのボンド役だが、この作品ではもうそれを感じさせない。 ラストシーンはその結末と、どこかの居酒屋で聞いたような台詞がちょっと残念だったが、今から次回作を期待させてくれる出来に納得の 星3つ を進呈したい。 |