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ラッキーナンバー7 デイ・アフター・トゥモロー  ブロークン・アロー 24-TWENTY FOUR_1 
許されざる者 インファナル・アフェア エアークラフト F14  インサイドマン
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ラッキーナンバー7

★★

なんとも奇妙な作品だ。
始まってから中盤にかけてはまったく支離滅裂、ストーリーがつながらないのでイライラさせられる。が、バラバラだったピースが後半から一気に形を成していき、最後にはあっと驚くどんでん返しが待っている(ある程度読めたストーリーではあるが・・・)のだ。

冒頭、いきなり男が駐車場で暗殺されて持っていた帳簿を奪われる。
次に、厳重なボディチェックを受けた後に眼鏡に仕込んだ毒物でボディガードを倒した謎の男は間髪入れずそこの主人を殺し、そこでも帳簿を手に入れる。

不運な男スレヴンは人違いでシンジケートのボスの所に連行される。見に覚えのない借金を返せと迫られるスレヴン。借金が返せないのなら敵対するボスの息子を殺害することをボスから提案される。選択の余地はなく、渋々了解するものの期限はたった3日間。

混乱するスレヴンだが、その後すぐにその敵対するボスのほうにも拉致される。こちらでも同じように金を返せと・・・。いったいどうなっているのか、人違いを必死に訴えるも信じてもらえない。ニッチもサッチもいかなくなった彼の運命は?

ストーリーを書いてもまったく意味不明だろう。ただ、これ以上書くとネタバレになる恐れがあるので敢えて書かない。お楽しみは後半で、という作品だ。

ブルース・ウィルスの殺し屋役は妥当だろう。「ジャッカル」や「隣のヒットマン」でお馴染みだ。だが、モーガン・フリーマンのボス役はどうだろうか。彼はインテリな役が多かったせいで、私の中ではミスマッチのキャスティングと感じた。まあ、彼のおかげで作品に厚みが出たことは紛れもない事実だが。

先述したように前半は我慢だ。2枚組で3,800円もする代物だけに失敗したかと心配になるのをぐっと我慢して見続けよう。 星2つ の面白さが後半で味わえるはずだ。



デイ・アフター・トゥモロー

★★★

この作品を初めて観たのはもう2年ぐらい前だろうか。SFX作品とはいえ、信頼できるデータに基づいて製作されている映像は寒気すら覚えた。地球温暖化→氷河期というのは実感が湧かないだろうが、現実にはそう遠くない地球の姿を如実に表現していることだけは間違いない。

「クール・ビズ」や「チームマイナス6%」といった活動を仮に知らなくても、ここ数年の異常気象はみんな身に染みて感じていることだろう。季節を無視したような開花、猛暑、集中豪雨、雪が降らない暖冬などなど・・・毎年異常気象と言っているが、そのうち異常が日常になって驚かなくなることのほうが怖い。

今回の作品もそういった地球環境に警鐘を鳴らすべく製作されたものだ。
同じようなメッセージを送っている作品にアル・ゴア元副大統領の「不都合な真実」がある。もっとも、こちらはドキュメンタリー映画ではあるが、ゴア氏という有名人の話題性もあって非常に注目されている作品だ。

ゴア氏のように先頭に立って環境問題に取り組んでいれば、今回の作品の展開も多少違った形になったかもしれない。主人公である気候学者のジャックは地球規模での異変に気付き、副大統領に進言するのだが、この作品の中の副大統領は非現実的と相手にしない。そのうち世界各地で信じられないような現象が・・・。

冒頭にも書いたが地球温暖化がなぜ氷河期になるのか、すぐに結びつかないだろうがこの作品を観ればそれも納得するだろう。飛行しているヘリコプターの回転翼を凍結させるほど凄まじい”スーパーフリーズ現象”とはいったい?ニューヨークの図書館に取り残された少人数の集団は無事に脱出できるのか?

巨大竜巻が暴れ狂うロサンゼルスや津波に襲われるニューヨークの映像も凄いが、そのあとのすべてが凍結した風景も衝撃的だ。この作品を観たあとは誰もが余計な照明を消したり、不要なアイドリングをやめるようになるだろう。それだけインパクトの強い作品に仕上がっていることから、 星3つ を進呈したい。



ブロークン・アロー

☆☆

人材流出が止まらない。
日本のプロ野球からアメリカメジャーリーグへの転出だ。

ご当地出身、元ヤクルトの岩村選手も今季からデビルレイズへ移籍した。不運な怪我をしつつも予想以上の好成績を残しているのがうれしい。”なにくそ魂”でいっそうの活躍を願っている。

同じように映画界でもアメリカへの人材流出が続いているようだ。
映画人にとってハリウッドに進出することは何事にも代え難いステータスであり、夢の到達点なのだろう。ただし、球界と一緒で移籍した者すべてが活躍し成功するとは限らない。香港映画界から監督としてハリウッドに進出したジョン・ウーも、成功したとは言えない一人だ。

今回の「ブロークン・アロー」も彼のハリウッド作品の一つ。
「MI−2」ほどひどい出来ではないものの、ジョン・トラボルタやクリスチャン・スレーターを起用しておきながら、何とも中途半端な作品になっている。B級作品と割り切って楽しもう。ちなみにブロークン・アローとは核兵器紛失の隠語。

ストーリーは、核兵器を搭載したステルス爆撃機から核兵器を投下してそれを強奪しようとするトラボルタの一味と、それを阻止しようとするクリスチャンとの闘い。画面に華を添えるため(だけに)クリスチャンを助ける公園監視員の女性も追加してある。はっきり言って「MI−2」の元ネタみたいなストーリーだ。

シーンの切り替わりに注意していると、香港映画にありがちな不自然なつながりを発見できる楽しみがあるし、関西弁風に言うと「なんでやねん!」とツッコミを入れたくなるシーンもあって、そういう意味ではマニアックな作品とも言える。個人的には嫌いではないので大盤振舞いで 星1つ を出そう。

ただ、ヘリコプターや列車を炎上させたり銅鉱山を爆破させたりと、画面の派手さのみを追い求めて、それでよしとしている監督の作品はこの後も続く。彼が香港で活躍していた頃の気風を早く取り戻さないと星がゼロになるだけでなく、B級監督の代名詞になってしまうだろう。



24-TWENTY FOUR_トリロジーBOX

★★★

もう旬は過ぎた感があるものの、「24-TWENTY FOUR」をシーズン最初の”1”から観ている。

別のコーナーでも書いているが、数年前にレンタルビデオでシーズン”3”を借りた時には正直言ってあまり面白いと思わなかった。内容はともかく、レンタルだから話しと話しの間隔が空きすぎて前の話しを忘れてしまうのと、ストーリーの展開があまりにも遅すぎて飽きてしまう点が致命的だった。

ところがつい最近、日曜深夜の地上波放送でシーズン4を2話づつやっていたので何気なく観ていたら、以前に観た印象と全然違ってとても面白かった。事実、24ファンの書き込みでもこの”4”がシリーズの中でも傑作だという意見が多い。

そこで過去のシーズンも改めて観てみようという気になり、シーズン1〜3の36枚!がセットになったトリロジーボックスなるものを購入した。かなり高額だがシーズンごと個別に購入するよりかは安くなっている。が、その代わりに特典映像などは入ってない。

「24-TWENTY FOUR」をここまで有名にした功績があるのはこのシーズン1だろう。大統領候補暗殺事件につながる数々の出来事をうまく絡めて、観る者を飽きさせずストーリーをどんどん進めていく手法はお見事。

また、テロ行為も宗教やイデオロギーのためとせず、アメリカ人が大事にしている家族愛というものを背景にして復讐をしているという構図にしている。ジャックの妻や娘が誘拐され、それに全身全霊立ち向かっていく姿も視聴者を共感させるファクターだったに違いない。

ただ・・・シーズン全般に言えることだが、かなりツッコみたくなることも少なくない。締め切りに何とか間に合わせたような結末にも後味の悪さを感じる。言いたいことはいっぱいあるが
・ジャックはサイボーグか?24時間あんなに動けないだろう。
・CTUスタッフも長時間勤務のわりに全然疲れた素振りがない。
・ジャックがかける電話は話中がない。
・ジャックの奥さんと娘はいったい何回誘拐されたら気が済むのか。
・CTUで調べられないことはない?
・あんな険悪な夫婦仲の大統領候補って・・・。
・関係者死にすぎ、俳優使い捨て時代か。

などと細かいチェックを入れながら今夜もつい観てしまうのだろう。冒頭から父親に迷惑をかけっぱなしのアホ娘や、CTUスタッフの手を煩わせることばかりする奥さんにイライラするも、シーズン”1”だけは先駆者の功績に対して 星3つ としたい。



許されざる者

★★★

洋画DVDには日本語による「吹き替え」がある。
私はほぼ100%、オリジナル音声で聞いて日本語字幕を読むというスタイルで鑑賞しているのだが、その理由は吹き替えと字幕では表現に微妙な違いがあるのと、それ以上に役者と合ってない吹き替えで観るのが苦痛だからだ。

たまに、タレントが「吹き替えに初挑戦!」などと宣伝しているが、あれなんかもうハナっから観る気もしない。吹き替えをナメてもらっちゃ困るぜ、ベイビー。

ベイビー・・・そう、吹き替えで許される声優さんは限られている。
ベイビーのセリフと棒付きキャンディーで有名な「刑事コジャック」のテリー・サバラス役の森山周一郎は本人以上?にハマった希なケースだ。

そしてもう一人、私が吹き替えを認めている数少ない声優さんが「山田康雄」だ。正確には”だった”と表現すべきか。有名なルパン役の他にはこれまた有名な「クリント・イーストウッド」役があった。とぼけた雰囲気の中にも時折見せる(聴かせる)凄みは一級品!

「何を考えているか分かるぜ、オレが6発撃ったかまだ5発かと考えているんだろう。」と、44マグナムを向けて犯人に言うセリフは映画「ダーティーハリー」の代名詞の如く有名になった。

今回はそのクリント・イーストウッドが渾身の力を込めて製作した西部劇「許されざる者」だ。C・イーストウッドといえば最近話題になった「硫黄島からの手紙」「父親たちの星条旗」などの監督としても才能を発揮しているが、もともと彼を一躍有名にしたのは「荒野の用心棒」であり、後の「夕日のガンマン」といった西部劇に他ならない。

この「許されざる者」にはラストでのごく一部を除き、西部劇にありがちな派手な撃ち合いはない。若い頃は極悪非道なガンマンだった彼だが、年老いた今では数メートル先の空きビンに命中させることも出来ず、馬に乗るにも一苦労する始末。そんな彼が子供のために旧友モーガン・フリーマンとともに賞金稼ぎに出掛けるのだが、その町には横暴な保安官ジーン・ハックマンがいた。

四苦八苦して懸賞金を手に入れたものの、山分けする時になってモーガン・フリーマンが保安官になぶり殺しにされたことを娼婦から教えられる。おまけに死体は見せ物にされているのだ。いくら酒を勧められようが、亡くなった妻に約束した禁酒を守り通した彼だが、話しを聞きながら怒りに震えるその手には酒瓶が・・・伝説のガンマンが復活した瞬間でもある。

非常に良くできた作品だ。邦題の許されざる者とは、権力を振りかざし友人を殺した保安官に対しての表現だと思っていたが、本当の許されざる者とは改心する前の悪党だった頃の自分に対する懺悔の意味を込めているのではないか、と私は感じた。

ラストの酒場での壮絶なガンファイトにばかり目がいってしまうが、全編を通して美しい風景をさりげなく取り込んでいるのが憎い。もちろん 星は3つ 。セルジオ・レオーネとドン・シーゲルに捧げるの十分値する作品だ。



インファナル・アフェア

★★

「ディパーテッド」という作品をご存じだろうか。
もし知らなくても、本年度アカデミー賞最多の4部門(作品賞、監督賞、脚色賞、編集賞)を受賞した作品だと聞いたら興味が涌いてきただろう。

ざっとストーリーを紹介すると、貧しい生い立ちながら悪に染まらず警察官になったビリーが、マフィアに潜入捜査のため送り込まれる。一方、良き警察官と評判のコリンは特別捜査課に抜擢されるが、じつはマフィアが送り込んだスパイ。
相反する立場のお互いがそれぞれの存在に気が付き、誰が裏切り者なのかという謎解きとサスペンス。その結末は・・・。

潜入捜査官ビリーにレオナルド・ディカプリオ、マフィアのスパイのコリンにマット・デイモン、マフィアのボスにジャック・ニコルソンという、そうそうたる俳優をうまくまとめたのが、ギャング映画の巨匠マーティン・スコセッシ。この顔ぶれだけでアカデミー賞を総ナメにしたのも頷ける。

だが、今回紹介する作品はこの「ディパーテッド」ではない。
実は「ディパーテッド」はリメイク作品で、オリジナルは意外にも香港映画の「インファナル・アフェア」という作品なのだ。

私は両方を観てないので現時点でどちらが良いのかという判断は出来ない。
だが、Webとかで絶賛されているほどオリジナル作品が優れているとは思わないというのが正直な感想だ。私が購入したのはSPECIAL PACK版で、3枚組となっている。今後購入予定の方にアドバイスしておくが、観る順番は2→1→3にしておこう。

確かにオリジナルだけあって背景が細かく描写されている。ハリウッド作品は比較的長編とはいえ2時間半足らずに物語をまとめる必要があるので、どうしてもそこらへんが厳しい評価になったようだ。とは言っても、オリジナルの3枚目は半分以上余計だったかな。

優しい表情の中にも悲しい雰囲気を漂わせるトニー・レオンや、ボス役のエリック・ツァンが良い味出している。
先述したようにDISC-3の作りはどうかなという点があって、星は惜しくも 2つ にしたが「ディパーテッド」共々観る価値は十分にあると思う。



エアークラフトF14

★★

今回、紹介する作品は邦画でも洋画でもない。
果たしてDVDのページに入れていいものかどうか躊躇したが、まあ番外編とでも思って頂こうか。

正式(?)な名称は「FIGHTING AIRCRAFT DVD Collection」といい、簡単な小冊子とDVDのセットで隔週刊で発行される。文字どおり戦闘機だけを取り上げるシリーズモノだ。

毎回1機種にスポットを当て、誕生した経緯やその歴史、詳細なデータや配備された時代背景などを詳細に解説している。創刊号となるこの号は「F14トムキャット」。そう、映画「トップガン」で一躍有名になった戦闘機だ。

「エリア88」のファンならミッキー・サイモンの愛機と言ったほうがピンとくるだろうか。本来は艦載機なのだが、外人部隊のため砂漠の基地とかで酷使されていたF14。燃料は大食いで、整備にも他の機種の何倍も手間が掛かることは、当時の漫画にも描かれていた。

彼の愛機にはアフターバーナーを搭載していたことから、初期型の「TF30」エンジンを搭載していた「F14A」と呼ばれる機体だったことなどが、この小冊子から分かることも楽しみの一つ。ちなみにその後、燃費やパワーの面で優れた「F110」型というエンジンに換装されている。

このF14、言うならば「アメ車のような戦闘機」なのだろう。艦載機にしてはあまりにも大きすぎるし、巨大な推進力を得るために2基の燃費の悪いエンジンを搭載しておきながら、メンテナンス効率を考えてない機体など、聞けば聞くほど昔の長大重厚なアメ車のようではないか。

そんな欠点も多かった反面、可変翼を採用するなど強烈な存在感で戦闘機ファンの間では根強い人気があったこの機体も2006年9月で引退し、36年間という歴史に幕を閉じたのが残念。現在はF/A-18スーパー・ホーネットがその任務を任されている。

DeAGOSTINI得意の「創刊号は790円」という特価につられて買ってしまったが、どうやらこのシリーズ、発行元の思惑どおり最後まで購入してしまいそうな気がする。ただ、肝心のDVDの作りはもう一歩。収録時間も短い。まあ価格から考えれば上出来とも思えるが・・・。よって、星3つにわずかに足りない 星2つ で出撃!



インサイドマン

★★★

最初に評価を書いてしまうが、この作品は 星3つ で決まりだ。
というより、このコーナー始まって以来、初の”それ以上の出来”だと書いておこう。

こういう良くできた作品に当たるとうれしくなってしまう。
悪趣味なゲームのように人がバッタバタ死んだり、映像のインパクトだけが欲しくて現実離れした銃撃シーンをこれでもかと入れる最近の映画に食傷気味の方には特にピッタリだろう。オマエのベレッタにはいったい何発入ってるんだ!とツッコミたくなる作品が多いと感じているのは私だけ?

ストーリーの根底はずばり銀行強盗だ。そう書くと、先述の派手な銃撃戦を想像してしまうが、この作品の良い所の一つが「誰も死なない」ことだ。ついでに言うと「金も盗まない」強盗なのだ。

4人ほどで、ある銀行に白昼押し入る。本来なら一秒を争う仕事のはずだが、彼らにはまったく急いだ様子がない。それどころか警察に完全包囲されても、ネゴシエーター(交渉人)とのやり取りでは逆に時間稼ぎをしているようなのだ。

人質に自分たちと同じジャンプスーツと覆面を着けさせ、誰が強盗で誰が人質か分からなくしてしまう彼らの巧妙な作戦に、強行突入を躊躇する警察。犯人の目的はいったい何か。また、この包囲網をどうやって脱出するつもりなのか。

謎解きにスパイスを加えるのは弁護士役のジョディ・フォスター、強盗のリーダーにクライブ・オーウェン、襲われた銀行の会長に老獪な役がピッタリのクリストファー・プラマーと脇が豪華。

肝心の主役はネゴシエーター役にデンゼル・ワシントン。これで面白くないわけがない。「リコシェ 炎の銃弾」「ペリカン文書」「ボーン・コレクター」「マーシャル・ロー」など数々の名作に出演している名優だ。中でも原子力潜水艦内でジーン・ハックマンとの鬼気迫る攻防が見どころの「クリムゾン・タイド」はオススメ。

ネタバレになるので詳しくは書かないが、冒頭に強盗のリーダーがカメラに向かってしゃべるシーンがあるのだが、これが結末につながるので要注意。また、オープニングのアフリカ系?民族調のサウンドもGOOD。是非ともオススメしたい作品である。




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