シネマのページ 8

HEAT/ヒート ドラゴン・タトゥーの女  ペントハウス M:I ゴースト・プロトコル 
クリミナル・マインド 水曜どうでしょう 16  ライ・トゥ・ミー  世界侵略ロサンゼルス決戦 
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HEAT/ヒート

★★★

時間というのは常に一定のはず。でも、退屈な時と楽しい時の時間の流れ方って、どう考えても同じペースではないだろう。例えを変えるなら、朝の慌ただしい5分と夜TVを観てくつろいでいる時の5分が全然違うのと一緒。今回の「HEAT」は約2時間50分もの長編だが、決して退屈な時間の流れではない。

この作品を初めて観たのはもう10年以上前になると思う。
当時話題となった、ロバート・デ・ニーロとアル・パチーノの共演を期待して借りたのではなく、単純にアクション映画として楽しむためだった。たしかに冒頭の現金輸送車襲撃や、警察との市街地戦は迫力満点。マイケル・マン監督がこだわったシーンだろう。でも、この作品の良さはそこだけではなくて・・・

ロバート・デ・ニーロ扮するニール・マッコーリーは犯罪グループのボス。頭がよくて用心深く、仁義に厚い彼と共に仲間が現金輸送車を襲い、有価証券を強奪する。ここまでは計画通りだったが、急遽仲間に入れた新参者が警備員を射殺してしまう。ここから歯車が少しずつ狂っていく。

この捜査を陣頭指揮するのがヴィンセント・ハナ役のアル・パチーノ。ロバート・デ・ニーロ共々、違う作品で刑事役をやったりマフィア役をやったりしているので、どっちが犯罪者役でどっちが刑事役でも違和感はない。でも、この作品ではこのキャスティングがドンピシャだった。

この後、先述したように話題となったカフェでの共演シーンあり、白昼ロス市街地での銃撃シーンありと、長い作品にありがちな間延び感を与えることなくストーリーは進んでいく。そうそう、忘れてはいけないことに、脇役の俳優陣がこれまた良い。
インパクトありすぎの強面ダニー・トレホ(ナタでぶった切るだけのマチューテ)や、トップガンでトム・クルーズのライバル役をやったアイスマンことヴァル・キルマー、刑務所から出てきたばかりで店主にいいようにこき使われるデニス・ヘイスバート(ジャック・バウアーがまだ若かりし初期の24でパーマー大統領役を演じていたのに!)などなど。

常日頃、何かあれば30秒フラットで逃げられることが捕まらない条件だと公言していたニール。逃げようと思えば愛する女性と一緒に逃げられたはずなのに、どうしても仲間を売った裏切り者をそのままにしておくことが出来ない。クルマに彼女を残したまま、彼はホテルの一室へ。

この作品が、よくある銃撃戦や不器用な生き方しか出来ない男を描いたものだけだったとしても普通に 星3つ だろう。それ以上に高評価なのは、男と女の生き様や価値観の違いを絶妙に表現している点だ。女性目線では共感を得られないシーンもあるだろうが、これは真のハードボイルド作品に仕上がっていると言っても過言ではない。

ニール・マッコリー役のロバート・デ・ニーロ ヴィンセント・ハナ役のアル・パチーノ




クリストファー・プラマーから40年前に起こった事件の解明を依頼される

★★★

最近、映画館ではヤラレっぱなしだから疑心暗鬼になっていた。でも、これは久々?の星3つ で決まりだ。どう良かったのかの前に、ホントに重箱の隅をつつくような減点ポイントを。

・ 邦題のタイトルはイマイチ。ただし、原題も”The Girl With The Dragon Tattoo”だから、まったく筋違いのタイトルではない。でも、もう一捻り欲しかった。
・ なんでR15?レイプシーンのせいか、一部グロいシーンがあるからなのか?
・ 素人が編集したような下手なモザイク処理は、逆にイヤラシイぞ。

とまあ、この程度のことは、オープニングクレジットの映像の出来の良さで十分挽回している。こんな凝った映像、久しぶりに観た。ツェッペリンの曲ともよくマッチしていて、これから鑑賞予定の方はこのオープニングをお見逃しなく。また、曲と言えば処理場でこれから起こるであろう惨劇の恐怖を、エンヤの曲がいっそう増幅させていた感じがする。

原作はスウェーデン発ミレニアム三部作としての世界的ベストセラー小説らしい、どおりで。
チョイ売れの俳優を起用して、適度にラブエッセンスを振り掛け、アクションもソコソコ入れて、見どころはどこかを借り切った大袈裟な爆破シーンで、ハイ一丁上がり!みたいな、最近のハリウッド映画によくある薄っぺらさがないのが良い。

基本になるストーリーは40年前の失踪事件の解明だが、そこだけで終わっていたらこの作品の評価は星2つ止まりだった。その後に続く20億ユーロ(だったと思う)の展開があったため星3つにした。欲を言えば、もう少し詳しい状況説明などがあれば更に良かったが、もうこれ以上の長編には出来なかったのだろう。
なにせ上映時間は約2時間40分!ただし、飽きさせないねぇ〜この作品は。

本国で作られている映画には小説同様第2部、第3部がある。今回のリメイク版の元になった第1部と共に是非とも続けて観てみたい。

余談だが、このコメントを書いている二日前に「TIME/タイム」という作品が公開になって、当初はこちらを観に行く予定だった。予告編を観る限りでは、時間が通貨の代わりになるという発想が面白そうだったから。人類に唯一、平等に振り分けられている時間という代物を、どう捉えていくのか、という興味があったのだが・・・まあ観なくて正解だったかな?(笑)
旧作扱いになったらDVDを借りて、このページでダメ具合を紹介するかもしれない。

美しいスウェーデンの冬景色。北欧の雰囲気が伝わってくる。




ペントハウスのワンシーン、車はフェラーリ250GTルッソ

☆☆

上の写真でフェラーリを押しているのは見慣れた二人。そう、ベン・スティラーとエディ・マーフィだ。ただし、米国のコメディ界を代表する二人の共演を目当てに観に行ったわけではない。この作品で彼ら以上に重要な存在が、その真っ赤なフェラーリなのだから。

映画のストーリーなんかより、クルマ好きの一人としては真っ先にこのクルマの紹介からしていきたい。
なんてことない普通のスポーツカーに見えるが、フェラーリ250GTルッソといって250シリーズの最終モデル。上の写真には写ってないが、サイドからリアエンドにかけての流れるような曲線が何とも言えない美しさだ。
停まっていても速く見える、スポーツカーとはこうあるべきだというお手本のようなスタイリングだ。

かつて、ステーブ・マックイーンが所有していたとされているその車輌は、オークションでなんと230万ドルの値が付いたらしい。それを映画の中では信じられない扱いを・・・、いや、もちろんそのシーンは本物ではなく撮影用に作ったレプリカらしい(当たり前だ)が、つい「勿体ない!」と何度も言ってしまう貧乏性の自分が情けない。

ストーリー自体は悪くないと思う。
最上階に住む大富豪に、タワーで働くスタッフの年金運用を任せていたが、それがすべてなくなったという設定。だが、隠し財産があることがわかったので、そのペントハウスに忍び込み、金を盗み出そうとする素人チーム。それを指南するのがエディ・マーフィーの役どころだ。

パッと見は悪くないが、あまりにもリアリティの欠如がヒドすぎる。ネタバレになるので、それが何かは指摘しないが、もう少し別の手がなかったのか?エレベーター重量オーバーだろ!
それに、こういうストーリーには欠かせない最後の大どんでん返しもない。そんなところにどうやってフェラーリを隠したんだ?と、半ばあきれてしまう幼稚な作り。ラストもなにかスカッとしない終わり方で・・・ラスト20分ぐらいは「もう時間も予算も残ってないのよねぇ」的なやっつけ的作りになってしまっている。

前日まで全国的に大雪に見舞われたが、この日からやっと春が到来という立春の夜に観たこの作品。
残念ながら”ヤラレタ感満載”の 星1つ で「チェックメイト」

美しい曲線を描くサイドライン あくまでも主役はフェラーリ、タワーの屋上から宙吊りに!




ドバイのブルジュ・ハリファでの一場面

★★

この映画、特に狙ったわけではないが2012年の元旦に観に行った作品だ。
元旦の、それもレイトショーだから館内はガラガラだろうと予想して入ったら、そこそこ観客がいてちょっと意外だった。やっぱり皆さん、正月番組って面白くないですか(笑)

新しい年の一発目だから、良い評価で終わりたい。でも、正直言って行く前からそんなに過度の期待はしてなかった。というのも・・・

そもそもこの”ミッション・インポッシブル”シリーズ、私の評価はイマイチ。(M:I-3についてはDVDの部屋 3を。なお、このページでトム・クルーズのハント役は今回で終わりと書いたが、その後映画会社との関係を修復できたようで、ここで訂正しておく)

どうしても子供の頃、深夜放送でハラハラドキドキしながら見た「スパイ大作戦」が比較対象になってしまうので、過激なアクションや派手な爆破シーンなどはいらない。でも、それじゃあ今の時代、観客を呼べないから仕方ないけど。

何から何までハイテク満載で、スパイダーマンよろしく壁面にくっつく手袋なんざぁアンタ、各方面から注文が殺到するだろうなと、余計なことまで想像してしまうほど。

でもね、網膜スキャンなどなかった時代、街のホットドッグ屋のオヤジと短い合い言葉を交わしてテープレコーダーを受け取り、さも何事もないような自然な振る舞いで超重大なミッションを聞いている、あの雰囲気がたまらなかった。本体から出る白い煙だけでテープの中身が消去できるのかという点は、子供心にも不思議に思ったが(爆)

だからこのシリーズはスパイ映画として観るのではなく、深く考えないトム・クルーズを魅せるアクション映画として鑑賞したほうがいいかもしれない。
題材も核ミサイルだったり、米ソの戦争勃発だったりと、もう何十年も前の出来事のような気がするし、ドバイまでは勢い良くポンポンと進行したのにインドに行ってから急にトーンダウンしてしまった感が否めない点も減点材料だろう。ブルジュ・ハリファでの撮影で予算を使いすぎたか?
とは言うものの、シリーズの中では比較的クドくない作りに、ご祝儀的意味も含めて 星2つ で謹賀新年。

例によって〜ロシアの公衆電話で指令を受ける場面




クリミナル・マインド シーズン1

★★★

CSIやフリンジ、メンタリストにライ・トゥ・ミーと来たら、当然この「クリミナルマインド」は外せないだろう。
ご想像どおり、今回も米国TVドラマシリーズの一つをご紹介したい。

この「クリミナルマインド」には「FBI VS 異常犯罪」という副題が付いていることから分かるように、FBIと犯罪者との闘いを描いたもの。犯罪と言ってもそんじょそこらの軽犯罪ではない。連続殺人鬼に性的犯罪者、絞殺魔に放火魔に幼児誘拐、爆弾魔にテロリストと、ありとあらゆる重犯罪者のオンパレードになっている。

それに真っ正面から闘いを挑むのが、FBIの中に設置された行動分析課、通称「BAU」というチーム。
行動分析課というのは、昨今よく耳にするようになった”犯罪のプロファイリング”を行う所だ。犯罪者が残した証拠や現場の状況から犯人像を具体化するという、アレだ。

「犯人は20代後半から30代前半の白人男性、学歴は高く服装もセンスが良い。おそらくジムに通って体を鍛えていて、クルマはドイツ製高級車を所有。社交的な性格で初対面の女性に対してもすぐに打ち解ける話術を持っている。だが、幼児期に性的虐待を受けたと思われるため、本質的に女性に対しての憎悪が見える。」なんていうことまでプロファイリングしてしまう。

これもTVドラマシリーズの定石で、基本的に1話完結だ。
それが良いところはシーズン途中から見ても、あるいはレンタル中で何枚か飛ばしたとしても話しが見えなくなる危険性が少ないということ。だから、最初は試しにシーズン4から観てみた。おお、結構面白いじゃないか。
かくして、いったんそのシーズン4は途中でやめておいて、シーズン1から観ることになった。

不謹慎な表現だが、こういう米国の犯罪事情を知ると”あぁ日本に生まれて良かったな”と正直思ってしまう。人気のない場所の自動販売機がなぜ壊されないのか、未曾有の災害に遭ってどうして略奪行為が一件も起きないのか、ということを不思議がる外国人が、逆に変に見えるのは日本人だけか?

TVドラマとはいえ、実際の事件を元に製作しているらしいので、まるっきりフィクションではなさそうだ。こんな異常犯罪に日夜取り組んでいる捜査官に 星3つ を捧げたい。




水曜どうでしょう第16弾

★★★

全国200万人の水曜どうでしょうファンお待ちかね、DVD第16弾の発売が今月初旬にあった。
もちろん、私も討ち入りの5日にローソンへと。
ちなみに、安っぽい”どうでしょう農園開墾予定地”のオマケを嬉しげにすぐに飾ったのは言うまでもない。

クラシックとかの放送で、もう何度も見ているから今更新しい発見もなかろうに、なぜか毎回この高価なDVDを買ってしまう。お値段は前にも書いたが、税込みで4,179円もする。なんなんだろうな、この魔力は・・・。

今回は「原付東日本縦断ラリー」と「シェフ大泉夏野菜スペシャル」の2本立て。

東日本縦断ラリーは、銀座でカブを購入しそれを72時間以内に札幌まで乗って帰るという、何とも無謀な企画。長いどうでしょうの歴史の中でも名シーンの一つに挙げられる、激突シーンがあまりにも有名。

夏野菜スペシャルは、日本一長い料理番組と謳っているとおり、すぐに料理はしない。まずは料理に使う野菜作りから始まる。そして野菜が出来てもまだ料理しない。器作りが待っているから。
タレントを映さず、車窓の景色を延々と流す中でトークを繰り広げるという、テレビ業界の常識に真っ向から挑む番組として当時は社会問題ともなった。(ウソ)

この水曜どうでしょうを知らない人にとって、今までの説明はさっぱり意味不明だろう。
少しでも興味を持った方は、一度禁断の扉をちょっとだけ開けて覗いてみよう。今まで知らなかった世界がアナタを待っているかもしれない。悔しいが今回も 星3つ でどうでしょう。




ライ・トゥ・ミーシズン3

★★

今回の作品も、お馴染みの海外TVドラマで評判の高い「ライ・トゥ・ミー」だ。

前のページで紹介した「メンタリスト」と同じジャンルの作品になるだろう。ちなみに、私としては主人公のキャラやチームの個性豊かな設定から「メンタリスト」のほうを高く評価しているが、ユーザーレビューとかではこちらの作品のほうが人気が高いようだ。

それというのも、そうだと断言する根拠や証拠を、有名人の実際のカット(歴代米国大統領やエリザベス女王も!)と共に説明しているからわかりやすい、というのが多くの理由となっている。
対して「メンタリスト」は主人公の並外れた観察力や読心術を用いて”こうだ”と断言するのがセオリーとなっているので、その根拠とかの説明はいちいちしないのが大きな違い。

制作側の意図でどちらも良い特色が出ているので、両方を見較べてみるのも面白いかもしれない。

タイトルになっている「ライ・トゥ・ミー」のライというのはご存じ「ウソ」のこと。
主人公のカル・ライトマン博士は人間の嘘を見破る微表情学という研究をしている心理学者で、警察やFBIの捜査に協力している。どんなに冷静にウソをついても彼には通用しない。

彼の同僚として美しい女性心理学者フォスター博士、本音で話して損をするローカー、空港検査から引き抜かれた天然のトーレスといったところが周りを固めるが、先のメンタリストやCSIシリーズに比べると脇が甘い。

これもある意味で制作側の狙いなのだろう。最小限のキャストでテンポ良くストーリーを展開したいのはわかるが、もうちょっと幅が欲しいなと思っていたらシーズン1の終わりのほうで、FBIのレイノルズ捜査官というのが出向という形でチームに加わった。この先、シーズン2からどう変わっていくか楽しみにしておこう。

評価は、シーズン1を見終わった今のところ、という但し書きが必要だが 星2つ で間違いないだろう。




世界侵略ロサンゼルス決戦

☆☆

今回もDVDではなく、映画のお話。それも、封切り当日のレイトショーで観た作品だ。
もう冒頭から白状してしまうが、この映画には結構期待していたんだが(悲)予告編の出来が良すぎただけなのか?お情けでどうにか 星1つ は付けよう。

題名から分かるように地球外生命体による地球侵略モノ。ただ、話しの展開を世界規模にすると予算がべらぼーに高くなるので、ちゃんと”ロサンゼルス決戦”と断っているところが憎めない所ではある。事実、物語はロサンゼルスの街中だけで完結している。

いやらしい話になるが、もし興行成績が良かったら次回作は”ニューヨーク最後の決戦”とかになるのか?やめておいたほうがいいぞ。

前評判的には「ブラックホーク・ダウン」と「インディペンデンス・デイ」を掛け合わせたような、と書いていたが私にはどちらの足下にも及ばない印象しか残らなかった。それよりも雰囲気は「クローバーフィールド」や「第9地区」に近かったのではないだろうか。
こういった作品に刺激を受けたのかどうかは不明だが、凝視されると陳腐な映像がバレるのが怖いせいか、最初っから最後までわざとらしい手ブレカメラワークがむかついた。

ストーリーはごく単純、海兵隊のプロパガンダ映画かと思うような全編海兵隊目線。地球外生命体に反撃すべく空爆作戦を決行するのだが、そのエリアにはまだ民間人が取り残されているため彼らが救出に向かう。仲間に犠牲を出しつつも何とか時間内に民間人を連れて脱出。そして空爆開始の時間になったが・・・。

もういっぱいツッコミどころがありすぎて、何から書いていいやら迷うほど。
・ 先にも書いたがその手ブレカメラ、やめろ。
・ 地球外生命体、弱すぎ。どっから来たの?
・ 武器も陳腐、高速道路上かどっかで耕耘機みたいなのを押してきた時には吹き出しそうになったぞ。
・ で、その初めて見る生き物をナイフでざっくり切って「ここが急所だ!」ってアンタ。
・ 司令部とやらはガラクタの寄せ集めで作ったのか?
・ ○が目当てなら彼らのテクノロジーと物々交換したら、お互い丸く収まったのにねぇ。
・ どこらへんがPG12対象なんだ?

こういう映画のこういうシーン、なんかで見たことがあるなと感じたが、後になって戦闘型ゲームソフトによくあることに気が付いた。3Dを実写版で?まあその程度の出来だった。
割安なレイトショーとはいえ、無駄なお金を使ってしまった。




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