バレット | ローアンドオーダー | ジャッジ・ドレッド | L.A.ギャングストーリー | |||||
大脱走 | ジャッキー・コーガン | ネイビーシールズ | ジャンゴ繋がれざる者 |
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最近は「美魔女」なるものが流行っているらしい。昔風にいうと「綺麗なお姉さん」だ。 この風潮はどうやら女性の世界だけの話しではなく、男性にも広がっているようだ。ただし「美」ではないが。 今回の「バレット」(原題:Bullet To The Head)の主人公、言わずと知れたシルベスター・スタローンも年齢不詳の部類になるだろう。彼はなんと今年67歳!浴場でこれ見よがしに披露する肉体はとてもリタイヤ組のおじいちゃんとは呼べない。「ラスト・スタンド」内で”もう年だな”と言わしめたあのシュワちゃんよりも一歳年上らしい。 もっとも、彼の出世作である「ロッキー」から貴重なヒット作(失礼!)である「ランボー」などを例に出すまでもなく、自他共に認める肉体派俳優なので、今更老けた役など出来る訳もないし、人造マスクのような表情では演技派への転向なんて論外。ここまで来たら、もう死ぬまでガチンコ肉弾戦を演じて欲しいものだ。 そんな胸板厚っ!のスタローン演じる殺し屋ジミー・ボノモは相棒を殺されてその復讐に燃える。その関わり方が微妙な韓国系刑事と行動を共にして、例によって助け助けられてのストーリー展開で、最後はスタローン最大の見せ場である斧を使った決闘シーンでシメて”はい、ごちそーさまでした”・・・という作品である。 何とも古典的な作風から想像できるように、監督は「ストリート・オブ・ファイアー」や「48時間」、「レッド・ブル」や「ザ・ドライバー」などなど数多くのヒット作を世に出しているウォルター・ヒル監督だ。スタローンはともかく、彼の作品だから期待して観に行ったのだが、脚本が悪かったのか例によって”オレ様”スタローンが口を出しすぎたのか、米国で大コケだったとおりB級映画に成り下がっている。 彼の駄作リストにまた一つ作品が追加されたようだ。当然 星1つ で十分だろう。ブラピのジャッキー・コーガン同様、殺し屋のキャラクター設定は悪くないだけに残念だ。 ほとんど印象に残らない作品の中で、唯一インパクトがあったのがジミーが乗るキャディラック・ドュビルだ。グリルは別の物に替えていたが、やはりアメ車の象徴であるキャディは存在感あり。行動を共にする影の薄い韓国系刑事よりよっぽど目立っていた。特に駐車場内でその韓国系刑事を助ける際にジミーが汚職刑事を跳ね飛ばすシーンがあるのだが、今どきの歩行者保護なんて考えてない厚い鉄板はビクともしないところが凄い。ラストでは爆破させるのだが、あ〜勿体ない(笑) そして代わりのクルマは・・・あ〜こ、これ?これでいいのね?観てのお楽しみにしよう。 |
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「刑事法体系には等しく重要な二つの独立した組織がある。犯罪を捜査する警察、そして容疑者を起訴する検察。これは彼らの物語だ。」 シリーズによって多少表現が違うようだが、こういったナレーションが冒頭に流れてストーリーが始まる。それも大抵の場合、その直後に事件が起こるので、いつもの調子でうっかり早送りすると見逃してしまう。 今回はご好評(?)の海外TVドラマシリーズから超ロングセラーとなった「ロー・アンド・オーダー」をご紹介したい。 生き馬の目を抜くような過酷な視聴率戦争のアメリカTVドラマ界において、1990年から2010年という長い間製作されてきたことは珍しいケースだろう。面白くないものは物語を無理矢理完結させてまでも数シーズンで打ち切られるが、こちらはなんと20シーズンも続いたらしい。おまけに多くのスピンオフ作品や映画まで製作されているとのこと。いかに視聴率が良かったかを物語っている証拠だ。 多くの刑事ドラマがそうであるように、この作品も一話完結(コレけっこう重要)で前半は警察の捜査、後半は検察の起訴や裁判という構成になっている。一話が正味45分前後だから、事件が起こって容疑者が逮捕されるまでほんの20分程度しか掛かってない。刑事コロンボのような謎解きの捜査を期待している人にはガッカリだろう。 すごい駆け足で捜査は進展し、刑事達が予想したとおりに容疑者が浮上したり、新しい証拠が発見されたりする。まあはっきり言って都合良すぎ(笑)でもこの時間配分では仕方がないし、違う見方をすればしつこくなくてあっさりと次の展開に進める。 後半は先ほども書いたが、検察の場面となる。この作品がそれほどまでロングセラーを続けてこられた最大の要因は、一話の中で警察と検察の活躍を同時に描いた点であることは疑う余地がないだろう。それに時間配分も微妙に裁判関係のほうに多く費やされている気がする。 ご存じのように米国の裁判は陪審員制度だ。有名な「12人の怒れる男」を引き合いに出すまでもなく、評決は12人の陪審員全員の一致した意見でなければならない。多数決ではないところがポイントだ。いかにもっていう感じの弁護士との対決が見どころになる。法廷モノとしてはこれもまたアッサリしすぎ感があるものの、時間の関係で致し方がない部分ではある。 明らかにこいつが犯人だという有力な証拠があっても、些細な手順の過ちを指摘されて証拠から除外されたり、弁護士が来たらさっさと帰れたりする不思議さ。ちょっと腕を掴んだだけで拘束されたと非難されるのに、銃を見たら警告なしで撃ち殺してもお咎めがない社会。それが真実かどうかが重要ではなく、陪審員の気持ちを傾かせるスピーチが出来るかどうかが裁判結果に大きく影響している矛盾さ。 震災のニュースを観て「なぜ暴動が起きないんだ!」とコメントする国と、「こんな時こそ助け合おう」と考える国民性の違いからか所々で理解しがたい面もあるが、一話で二度美味しいこのシリーズ。ほぼ星3つに近い星2つ でどうだ。 |
近年、アメコミ界ではバット・マンもアイアン・マンも苦悩に満ちたシリーズを送っているが、イギリスコミック界には己の存在意義に一片の迷いを持つことなく、鋼鉄のような意志を持って任務を遂行するヒーローがいる。今回はそんなゴルゴ13みたいな寡黙なヒーローが活躍するバイオレンス・アクション映画「ジャッジ・ドレッド」(原題:DREDD)という作品をご紹介したいと思う。 この作品、じつは実写化されるのは今回が初めてではなく、1995年にS・スタローン主演で同名の作品が製作されている。駄作が多いスタローン映画らしく、興行的には大コケだったらしい。私ももしかしたら観たかも分からないがまったく記憶には残っていない。いや、たぶん観てないな(笑) 興行的にそんな残念な結果だっただけでなく、このコミックのファンからはあまりにも原作と違う!と強烈なブーイングがあったそうで(原作では主人公はヘルメットを脱がないそうだが、スタローンはそうはいかなかったようで登場後すぐさま素顔を見せたのが反感を買ったらしい)再製作を熱望する声が多かった・・・という布石がある。 私はその原作を読んではないしコミックのファンでもないので、原作に忠実だったかどうかは不明だ。だが、星2つ を付けていることから想像できるように期待どおりの面白さはあった。ただし、3Dでの鑑賞によるプラス効果があったことは否めない。 核戦争後の東海岸。1分間に12件も犯罪が発生する世界では警察と検察、それに裁判所の執行権限までも持ったジャッジと呼ばれる集団によって治安が維持されてる。主人公はそこで活躍するドレッドで、新人の女性ジャッジの卒業試験を担当することになった。その時通報があった200階建てビルに急行して容疑者を確保したものの、そのビルを支配するママと呼ばれるボスはビルを閉鎖し、ジャッジ二人を殺害する司令を全住民に出す。逃げ場のないビル内で次々と攻撃を受ける彼らに生き延びるチャンスはあるのか! そう、ストーリー的にはインドネシア映画の「ザ・レイド」とよく似ている。こちらは麻薬王が牛耳る30階建てビルで、他のSWAT隊員が次々と殺害される中、主人公はシラットと呼ばれる格闘技を駆使して敵をやっつけるというお話。DVDをレンタルする際にはインドネシア映画という表記から眉唾モノで観たが、かなりの迫力があって良い意味で裏切られた作品だ。 先述したように3Dでの鑑賞だったから、人体を貫通する銃弾や200階から落下する際のスローモーション映像は迫力満点だ。2Dではどこまでインパクトがあるか不明だが、こういうスプラッター的映像が苦手な方は要注意だろう。 ツッコミどころも多数あるが、是非とも続編を作ってもらいたい。 |
GWの映画館って、女子供向けの作品ばっかりで面白くない・・・とお嘆きのアナタにピッタリの作品をご紹介したい。男臭さ満載の「L.A.ギャングストーリー」(原題:GANGSTER
SQUAD)だ。 舞台は第二次世界大戦後間もなくの1949年ロサンゼルス。実在した大物ギャング、ミッキー・コーエンとそれに立ち向かったロス市警6人の闘いを描いた作品だ。と書くと、映画ファンならすぐさまあの名作「アンタッチャブル」を連想するだろう。 大筋では似た作風になっている。こちらは、禁酒法時代のアル・カポネに立ち向かう財務省の役人(エリオット・ネスは警官ではない)の活躍を描いたものだ。 残忍なミッキー・コーエン役をショーン・ペンが鬼気迫る迫力で演じている。「アンタッチャブル」のカポネ役ロバート・デ・ニーロしかり、こういう作品のボスキャラは強烈でなければならない。余談だが、ミッキー・コーエンというギャングが有名になったのは、砂漠にラスベガスを作ったことで有名なベンジャミン・バグジー・シーゲルの右腕だったことから。別作「L.A.コンフィデンシャル」でもコーエンの名前が再三出てくる。 ロサンゼルスをユダヤ人ギャングに支配されることを憂慮した市警本部長(老けたニック・ノルディ)は逮捕ではなく、組織の殲滅をオマラ巡査部長(ジョシュ・ブローリン、このコーナーでは「ノーカントリー」や「ウォール・ストリート」で登場)に命じる。彼は、というより彼の身重の奥さんはそれぞれに特技があるメンバーを選んでチームを結成する。「ドライヴ」のライアン・ゴズリングも出ているが、なんといってもカッコイイのは西部劇スタイルを最後まで貫いた早撃ちガンマン巡査(ロバート・パトリック←ターミネーター2で液体金属の殺人マシーンを演じた)だろう。 かなり昔とはいえ、この当時で本当にコルトを腰にぶら下げていたかどうかは定かではないが、全キャストの中でも私のイチオシとしたい。口髭を蓄えた風貌なんて、あの「夕陽のガンマン」をはじめとする西部劇で強烈な個性を発揮した狐顔のリー・バン・クリーフみたいだ。もっとも、正確に言うと彼は拳銃を腰ではなくいつも下腹あたりまで前に持ってきているのが特徴だが。オマラ巡査部長がテーブルからわざと酒瓶を落とすシーンって、西部劇ファンならニヤリとする場面になるに違いない。 ただ、残念なことにこの作品には不運なことがあった。見せ場の一つにチャイナタウンでの銃撃戦があったらしいのだが、同時期に起こった銃乱射事件に配慮して平凡な爆破シーンに撮り直されたことだ。 まあ、それだけでつまらなくなったというわけではないが、一番盛り上がるであろうホテルを舞台としたラストの銃撃戦はちょっと消化不良だった。先述した「アンタッチャブル」で有名な駅の階段での銃撃戦に遠く及ばない。迫力はあったが、惜しい撮り方をしている。雨あられのように数多くの弾を発射させればヨシという風潮はもうやめよう。 とはいえ、DVDが出たらまた観ようと思わせる作りに、限りなく星3つに近い 星2つ を進呈したい。 |
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リー・バン・クリーフ「夕陽のガンマン」より |
下の段であまりにも残念な、そして後味の悪い作品を紹介してしまった反省?から、今回は不朽の名作「大脱走」をご紹介したいと思う。原題は「The Great
Escape」、でも「大脱走」というタイトルのほうが日本人にはシックリくるだろう。 もう今更ストーリーの紹介なんて必要ないのだが、なにせ1963年に製作された、つまりは50年も前の作品なのであの有名な「大脱走のマーチ」すら知らない世代の若者のために・・・ 第二次世界大戦中のドイツのルフト第3空軍捕虜収容所というところが舞台。他の収容所から札付き(作品中では腐った卵と自嘲)ばかりを集めた、脱出不可能の収容所から250名もの捕虜がトンネルを掘って脱走するというお話。結果的には途中で見つかったため76名ほどしか脱走できなかったが、その計画の壮大さは他の収容所では類を見ない規模だった。 この物語は一部脚色が加えられているものの、ほぼ史実である。残念なことに、逃亡途中で捕らえられた50人ほどはゲシュタポの手によって虐殺されてしまった。マックィーンが演じたヒルツを含む十数人は元の収容所に送り返されて、無事に逃げおおせた者はほんの数人だった。 この作品の凄いところはいくつもあるが、まずは出演陣の豪華さだろう。 先のスティーブ・マックィーンから始まってジェームス・コバーン、チャールズ・ブロンソン・・・そう、有名な「荒野の七人」と同じキャストだ。他にいぶし銀のリチャード・アッテンボローやジェームス・ガーナーなど。それに、ただ豪華だけでなくちゃんと各自のキャラを確立していて、お互いを際立たせているのが素晴らしい。 それと上映時間が約3時間!でも、観ているとそんなに長く感じないのが名作たる所以だろう。駄作は90分でも眠たくなってしまうのに・・・。その3時間だが、前半部分ともいえる2時間は収容所内からカメラが出ない。トンネルや建物内でうまくシーンを変えてはいるが、基本的に外界の映像はないのに観客に閉塞感を与えてないのが凄い。(トンネル内はある意味閉塞感が充満しているが) そして後半部分は、もうマックィーンのショーといっても過言ではないほど彼の魅力満載だ。 ドイツ軍から奪ったバイクでスイス国境の鉄条網を飛び越えるシーンはあまりにも有名だろう。ドイツ軍のバイクなのになぜトライアンフなの?はご愛敬。ただ、最後に鉄条網に突っ込んで観念したときに、バイクのタンクをポンポン!と叩く仕草は「ここまでよくやってくれたな、サンキュー」と言わんばかりの、バイクマニアだった彼らしいアドリブだったのではないかと思えた。 そして捕まった時もまるでいたずらっ子が見つかった時のような人なつっこい笑顔。重くて暗くなりがちな捕虜のイメージが、彼のおかげで大きく変わったのに異論はないはずだ。 二週間サイクルで過去の名作を上映する「新・午前十時の映画祭」にて鑑賞。DVDなら旧作レンタルで50円か100円なのに、1,000円も払って観る価値があるかどうかは意見が分かれるところかも知れない。それももう既に5〜6回は観た作品に。だが、私は自信を持ってオススメしたい。映画館には映画館でしか味わえないものがあるのだから。 |
今年も始まったゴールデンウィーク。ただ、例年と違って分割連休だけど。 そのGW前半の幕開けを飾るのはこの作品しかないでしょう!というわけで、またもや公開初日のレイトショーに出掛けた。ブラッド・ピットが殺し屋を演じる「ジャッキー・コーガン」(原題:KillingThemSoftly)をご紹介しよう。 その前に一つお聞きしたいが「あなたはブラピのファンかい?」 彼目当てで観に行くファンなら星2つでもいいかもしれない。殺し屋になった彼は相当カッコイイから。前ページでご紹介した「アウトロー」でのトム・クルーズはどうやってもアウトローになりきれてないが、オールバックにした髪型や髭を蓄えた彼がタバコを吸う仕草なんて、女性ファンにとってはハートをキュン(笑)だろう。 ただ、それほどのファンじゃないし、純粋に作品を楽しもうとして期待されている方にとっては 星ゼロ だ。 星ゼロって・・・このシネマのコーナーも長くやってきたが、ゼロというのは本当に僅かだ。映画好きの一人としては、例えいくら駄作だったとしても出来るだけ良い所を見つけて好意的にご紹介しようという思いがベースにあるので、何がしらプラスポイントを評価しているのだが、この作品ではまったくそれがない。 ストーリーも書くほどのことがない。 チンピラ二人に賭場が荒らされて、その実行犯と黒幕の処理にブラピがやってくるというだけのもの。副題で”優しく殺す”なんて付けているが、要は泣き言を聞かないうちにさっさと引き金を引くだけのこと。殺しの美学というものを一切感じられない。同じバイオレンス映画でも「ノーカントリー」とは雲泥の差だろう。 それに全編を通して、まるでパッキンが壊れた水道の蛇口みたいに無駄な台詞がダラダラと延々と続く。それって必要か?必要かといえば、再三出てくるオバマ大統領の演説もそうだ。現実の荒廃した社会を皮肉った意図は分かるが、そう何度も流すほど本編に関係しているとは思えない。 以前に、何かというとアクションシーンにはすぐに鳩を飛ばしてスローモーションを多用するジョン・ウー監督を批判したが、この監督(もう誰か調べるのも面倒だ)にもそのスロー症候群があるのだろう、さすがに鳩は飛ばなかったけど。雨の中、隣のクルマから銃撃するシーンにスローモーションを多用する意味が分からない。 どんなバイオレンス作品か楽しみにしていたが、結局3人ほどごく普通に片付けて、最後は酒場で「早く金を払え!」っていう台詞で終わってしまう情けない展開。スクリーンが真っ黒になったときに「えぇ〜これで終わりかよ!」とツッコミを入れたい方は劇場へドーゾ。 |
この作品に奇想天外なストーリーや感動的なドラマを期待してはいけない。 「ネイビーシールズ:原題ACT OF VALOR」の”ウリ”はいろんなことが本物であることなんだから。 でも、誤解がないようにお断りしておくが、最初っから最後までドンパチして終わり・・・という作品でもない。多少(←多少かよ!)それらしいストーリーは付随している。もうすぐ子供が生まれるのに、任務のため奥さんと離ればなれになってしまうことや、仲間を救うためテロリストが投げた手榴弾の上に被さって犠牲になったりと。星条旗を畳むシーンをよく見ると思うが、軍隊式の葬式もお約束どおり入っている。まあ、その程度かな。 前ページや下の欄でも紹介した「ゼロ・ダーク・サーティ」で、ビン・ラディンが潜伏していると思われる屋敷を急襲したのが米軍特殊部隊の中でも最強との呼び声が高いネイビーシールズだ。名前どおり海軍の特殊部隊だが、彼らの行動範囲は国や場所を問わない。 ちなみに米軍の特殊部隊には他に、S.スタローンの「ランボー」で有名になったグリーン・ベレーや、チャック・ノリスが演じたデルタ・フォースなどがある。 ストーリーの展開としては、前半は拉致された女性CIA職員の救出、後半は爆弾を埋め込んだベストを着用して自爆テロを企てるテロリストへの(麻薬組織のアジトへの)襲撃に分かれるだろう。 冒頭にも書いたが、この作品のウリはすべてが本物であること。 だから、奇襲艇を吊り下げたまま目標地点近くまで飛来するヘリや、ゴムボートから乗り移る潜水艦!、隊員が降下する飛行機や、ヘルメット横に取り付けたカメラの映像など、シールズの全面協力なので迫力は満点!ミリタリーファンにはたまらないシーンが数多くあるので、ここは是非ともBDでスローやコマ送り映像を楽しんで欲しい。 グダグダした余計な展開がないぶん、シンプルにスッキリ楽しめるだろう。迷わず 星2つ を捧げたい。 |
いつの頃からかテレビや映画のヒーローモノを観ていても、どっちがヒーローでどっちが悪役かハッキリしないので、なんかモヤモヤすることがある。最近の紹介作品で例えるなら、前ページにある「ゼロ・ダーク・サーティ」なんかがそれに当てはまるだろう。テロの首謀者ビン・ラディンを追い詰めるCIAの長きにわたる戦いを描いた作品だが、観た後に「本当に彼だけが悪いのか?」「アメリカは常に正義なのか?」という疑問を投げかけてくる。少なくても私にはそう感じた。 だから、某清涼飲料水のキャッチコピーみたいな”スカッと爽快!”感が味わえないのが玉に瑕だろう。 もちろん何でもかんでも”昔は良かった”・・・なんてことは基本的に言いたくないが、その点、西部劇というジャンルでは善玉悪玉が誰の目にもハッキリ分かるので「最後に正義は勝つ」法則が成り立つ。ジョン・ウェンやC.イーストウッド、あるいはジュリアーノ・ジェンマが悪役になることはまずないからである。 時は南北戦争間近の1858年、場所は黒人にとっては過酷な米国南部。 元歯医者で今は賞金稼ぎとなっているドイツ人シュルツに助けられた奴隷のジャンゴが主人公。ちなみにジャンゴ役のジェイミー・フォックスは、これもまた前ページでご紹介したマイケル・マン監督の「コラテラル」で、殺し屋のトム・クルーズにこき使われる(最後はトム君をやっつけてしまうけど!)気弱なタクシー運転手の役を演じている。 シュルツは狙ってるお尋ね者の顔を知らないがジャンゴは知っている。捜し出すことに協力してくれたら離ればなれになった妻を取り戻すことに手を貸すという約束の下、二人の賞金稼ぎ生活が始まる。 一昔前の香港映画で多用された大袈裟なワイヤーアクションや、問題にならないのかとこちらが心配するほど何度も繰り返し出てくる人種差別表現や、周りの俳優に食われている(特に奴隷頭?で執事役のサミュエル・L・ジャクソンの極悪ぶりは素晴らしい!)と感じさせるほど悪役が似合ってないディカプリオなど、いろいろなマイナス評価があるだろうが、この作品は間違いなく「タランティーノ映画」だ。 だから期待どおりエログロがしっかり盛り込んである。まあ「キル・ビル」や「パルク・フィクション」を観たことがある人なら事前に想像付くだろうが・・・こういうシーンに拒否反応がある人は観ない方がいいだろう。 典型的な”一般ウケしないがハマったら最高!”な作品だ。もちろん私は嫌いじゃない(笑) 本家の「痛快ビッグダディ」が最近どうも痛快な話題がないのに比べて、こちらのビッグダディは痛快だ。1966年に製作されたマカロニ・ウェスタンの名作「続・荒野の用心棒」原題DJANGOに由来するこの作品、久々に”スカッと爽快!”させてくれたので 星3つ を進呈したい。 ただ、くれぐれも「デジャンゴ」なんて、頭のDは発音しないようにしよう。撃たれるぞ(爆) |