ステルス | 水曜どうでしょう_5 | ファイナル・デッドコースター | MI-3 | |||||
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トム・クルーズ主演の「MI-3」のところでも触れたが、「トップガン」は最高にカッコイイ映画だった。 この映画の公開以来、MA-1ジャンパーや米国軍採用のパイロットサングラスが流行したことからも、その社会的影響が大きかったことが頷ける。 ストーリー的にはアメリカ=正義、悪者を力ずくでねじ伏せ最後はヒーローが勝つ!というアメリカ人が一番好きなパターンだからヒットしないワケはない。S.スタローンの「ロッキー」や2作目以降の「ランボー」などはその典型的作品だろう。 今回の作品は、その戦闘機モノの最新作「ステルス」だ。 3人のトップガンで構成されるチームに新たにもう1機加わった。人工知能を搭載した無人戦闘機エディだ。彼は実戦を通していろんなことを学んでいき、次第に意志を持つようになる。 命令を無視し暴走するエディを連れ戻そうとするが、逆にチームの一人ヘンリーは撃墜されてしまう。チームリーダーのベンはロシア空軍との戦闘を通してなんとかエディを指揮下に置くことに成功するものの、プロジェクトの失敗が露見するのを恐れた指揮官に抹殺されそうになる。 間一髪でエディと共に脱出したベンは、現在世界で一番ホットな国「北●鮮」に墜ちたカーラを救出するべく、エディと共に国境の38度線付近に向かう。 こういうストーリーだけで判断すると、それはまさに米国海軍入隊へのプロパガンダ作品と受け取れてしまう。「キミも悪者をやっつけてみないか!」なんていうキャッチコピーが見えてきそうな気配だ。 大体、よその国に不法に侵入して建物を破壊し、戦闘機を撃墜し、何人もの人間を殺しまくる彼らの行動には何の正義も感じない。エディが暴走してと書いたが、本当に暴走しているのは人間のほうであり米国軍であり米国そのものではないのか。 ただ、きな臭い話しは別にして映画として割り切って考えると、非常に良くできたSFX作品であることは間違いない。実際に飛行しているがごとく合成されているのは素晴らしいし、振動やGのかかり具合がリアルで、CGによくあるウソっぽさがないのがいい。 ラストシーンで北●鮮のヘリに”カミカゼ”攻撃をするエディの行為に苦笑いしてしまったが、先述したように全編を通しての素晴らしい映像に対してのみ 星2つ を与えたい。 |
当サイトの、それも自己満足と独断と偏見に満ちた(?)このコーナーを訪れてくれた”寛大で賢明な”読者の方々は既にお気付きだろうが、このコーナーには邦画の掲載がない。 誤解のないように断っておくが、邦画がつまらないわけではない。一時、怪獣モノやアニメでしか観客を呼べない冬の時代があった日本映画界だが、最近はハリウッド作品より行列が出来る作品も少なくないし、海外でも高く評価されるものも増えてきた。 と、邦画の前フリをしておきながら、今回紹介する作品は邦画ではない。「水曜どうでしょう」という深夜番組のDVD版である。 水曜日の深夜という時間帯なので、この「水曜どうでしょう」をご存じない方々のために最初に番組の紹介をすると、基本的には「大泉洋」と「鈴井貴之」の二人がいろんな企画にチャレンジして、ドタバタオモシロ番組に仕上げているというもの。 「大泉洋」については説明の必要はないだろう。全国版の番組やドラマに出演している自称、北海道が生んだスーパースターなのだ。なにやら調子に乗ってCDまで出しているらしい。ポスト松山千春を狙っているのか? 「鈴井貴之」は自身も俳優であると同時に、大泉洋が所属している「CREATIVE OFFICE CUE」という事務所の社長であり映画監督でもある。余談だが、最初観た時には大泉洋とのお笑いコンビかと思った。でも、それぐらい息の合った二人なのだ。 他に「藤村」と「嬉野」というディレクターがいるが、彼らはHTB(北海道テレビ放送)の社員。そう、この番組はHTBの製作なのだ。画像や番組ロゴを載せたいところだが、著作権の問題があるためURLだけ書いておく。 http://www.htb.co.jp/suidou/ この番組内では様々な企画がある。今回、紹介するDVDは第5弾として3つの企画が収録されたものだ。「宮崎リゾート満喫の旅」「韓国食い道楽サイコロの旅」「北海道212市町村カントリーサインの旅」が入っている。 どれも抱腹絶倒だが特にオススメなのが「サイコロの旅」と「カントリーサインの旅」。ちなみにサイコロシリーズはこの番組の代名詞とも言えるほど有名で、他のDVDにも何度も出てくる不朽の名企画でもある。 サイコロから想像出来るように、出た目によって行き先と食べられるメニューが違ってくる。韓国内を縦横無尽に移動(これが殺人的移動)し着いた先でいよいよ食べようかとするときに無情にもカードを引かされる。 ”全員食べられない”とか”大泉だけ食べられない”とか・・・7時間も移動した挙げ句食事抜きということもある。 カントリーサインとは市町村の境界にある標識のことだ。道内212の市町村(1997年当時)を2泊3日で制覇するという、壮大でバカげた企画。それもただ廻るだけではつまらないとのことで、212枚のカードを引いて行き先を決めるというもの。北海道はあまりにも広かったというオチが容易に想像できるだろう。 この番組、企画もいいが、なんと言っても大泉&鈴井&藤村の爆笑トークとリアクションが面白い。個人的にはたぶん2006年に観たTV番組で一番面白かったかも知れない。肩透かしのように新作DVDに裏切られ続けている昨今、4,179円も惜しくはないぞ〜(←?) もちろん 星は3つ でどうでしょう! |
新作DVDは値段が高い。 映画館代と新作DVD代を比較するとDVDのほうが2千円前後高くなる。もっとも、上映時間に束縛されず家で横になりながら繰り返し観ることが出来るメリットは重々承知しているが、巨大スクリーンでもなくサラウンドシステムでもないのにこの価格差はやはり納得のいかないことの一つだ。 最近、その新作に裏切られてばかりのような気がする。 下の「レイヤー・ケーキ」しかり「MI-3」しかりである。そんなイヤな流れを変えるべく、満を持して投入したのが今回の「ファイナル・デッドコースター」だ。 原題は「ファイナル・デスティネーション3」、つまりシリーズものの3作目である。 全作に共通するストーリーをざっと紹介すると、とある事故を予知した主人公が周りの数人と行動を共にし、災難から逃れるという展開。ただし、運命は変えられない。助かったはずの仲間が一人また一人と不運な事故で死んでいくのだが、その死に様が凝っていてかなりショッキングな映像になっている。 1作目のテーマは飛行機事故。 ハイスクールの修学旅行でフランスに行くため、いったん飛行機に乗り込むが、主人公の男子学生がその飛行機の事故を予見する。慌ててターミナルに引き返した彼とその友人達や教師は搭乗を拒否されてしまった。 落ち込んでいた彼らだが、数分後には乗っていたはずの飛行機が本当に爆発炎上するのを目撃することになる。複雑な感情を覚えつつ生きていることに喜ぶ彼らの元には、そっと死に神の気配が・・・。 2作目はハイウェイでの交通事故。 仲間と一緒に乗っていた車中で、トラックから丸太が崩れ落ちたのをきっかけに悲惨な大事故になるのを予見する。その事故で自分たちが死ぬ場面を鮮明に見た彼女は機転を利かし、間一髪のところで事故から逃れることが出来た。だが、幸運だと喜ぶ彼女らの元にも死に神はやって来るのだった。 この3作目は遊園地のジェットコースター事故。 ここまで書いたら後の展開はもう察しがつくだろう。事故前に撮った写真が死因のキーポイントになる点が前作と違うところ。 結論から言うとこのシリーズ、2作目が一番面白かった。最後までブラックユーモアが利いていたし、ハイウェイでの映像も素晴らしかった。 今回は・・・もうマンネリかな?事故をテーマにするだけならこれから先もまだまだ続編が作れるだろうが、先述のとおりこのシリーズの売りはその死に様が凝っていること。ネタバレになるので詳しくは書かないが前作に比べて「あり得ない」度合いがダウンしてしまっている。風が吹く=死に神登場というパターンも、いささか見飽きた感がある。 流れを変えるべく代打の切り札を出したけど、キャッチャーフライで結局ランナーを進めることが出来なかったみたいな・・・でも、ダブルプレイは避けられたからよかったといえばよかったみたいな・・・そんな煮え切らない結果だと言えば分かってもらえるだろうか。星は大サービスで 1つ とした。 |
この人、最近かなりおかしいらしい。 この人とはつまり、ミッション・インポッシブルシリーズでイーサン・ハント役をしているトム・クルーズだ。長年在籍した映画会社もクビになった。おかげでこの役も今回で終わり。 原因はいろいろな憶測が流れているようだが、お偉いさんの目には彼の奇行が度を超していると映ったらしい。だが、彼ほどの世界的スターだからプライベートで少々(かなり?)奇妙な振る舞いをしようと、他の会社から引く手あまたになるのは間違いないだろう。 個人的に彼の作品は嫌いではない。このイーサン・ハント役は昔の「スパイ大作戦」とイメージが違うのでイマイチだが、「トップガン」は最高にカッコよかった。脳天気な笑顔も見方を変えれば爽やかに見えるし・・・m(_ _)m。 ミッション・インポッシブルシリーズの3作を出来の良い順番に並べると「1→3→2」というところだろうか。駄作だったジョン・ウー監督の「MI-2」は問題外という気もするが、一番スパイっぽい雰囲気があった「MI-1」は越えられなかったようだ。 アクション至上主義の反省からか今回は多少控えめに仕上がった感じがする。現場から退いて教官となったイーサン、教え子の危機を知り救出に向かう。激しい銃撃戦の末・・・ ん?ちょっと待てよ。昔から名セリフがあったではないか。 「〜当局は一切関知しないからそのつもりで。」 の次のシーンでテープレコーダーから白い煙がモワ〜っと出るのはあまりにも有名。証拠隠滅を表現しているシーンだが肝心のテープは消えていないぞというツッコミはさておき、関知しないはずのIMFがなぜ救出作戦に乗り出すのか。 その後もありきたりのアクションシーンあり、お約束のIMF内の裏切り者ありで観客を飽きさせない努力をしつつ平凡なストーリーは展開していく。終わってみれば終始、トム・クルーズのトム・クルーズによるトム・クルーズのための作品になっていることは否めない。 題は「MI-3」だが中身は「007シリーズ」のようになってきた。それはそれで好きな人がいるからいいだろう。ただ、今から考えると幼稚な特殊撮影や子供だましのようなスパイ用品しかなかった時代にもかかわらず、ハラハラドキドキしながら観た「スパイ大作戦」が懐かしい。 お金が掛かっているのが分かる橋の上とかのアクションシーン(CGによる合成で実際は違う場所で撮影)に免じて、限りなくゼロに近い 星1つ を進呈しよう。 |
クルマを買い換えるときに、誰もが思うことは「できるだけ高い査定を」ということだろう。思い出いっぱいの愛車を売りに出すのだから、当然なことだ。 ところが、ディーラーや買い取り業者は再販する訳だから、そうそうオーナーの思い出や愛情ぶんを加味したりはしない。昨今賑わっているブランド品買い取り店しかり、家電リサイクルショップしかりである。買い取り価格を決めているのは冷酷な市場価格だけだ。 この市場価格というやつは大抵の場合、オーナーの想像金額よりはるかに低い価格が提示される訳で・・・ 「グレードと年式と走行距離、あとはボディカラーを考慮したらこうなりますね。」 と、無情な宣告をされる。 でも素直に受け入れてはいけない。ここからプロ野球選手の年俸交渉のごとく、ねばり強いやり取りが続くのだ。最後に待っている”妥協”というゴール目指して。 そういう交渉もクルマを買うときの一つの楽しみと割り切れば、これはこれで「あり」かもしれない、私は苦手だが・・・。 では、たくさんの作品が登場するこのDVDのコーナー。観終わったDVDはどうしているのかというと、大半は買い取り店に売りに出している。 CDやDVDは先述のクルマの査定のような交渉は一切ない。世間にはそういう交渉が出来るショップもあるのかもしれないが、少なくても私が買い取りに出している所では店側の言い値で価格が決まる。不服なら持って帰ってくれというシステムだ。 ビックリ(!)するぐらい安い価格で引き取られ、次に店に行くとまたビックリ(!!)するようなプライスで中古販売されている。 それでは、そういった店に”身売り”されない作品はというと単純に「今度も観たい」と思う作品だ。裏を返せば、すぐに売りに出す作品は「もういいや」と思う作品ということになり、今回紹介する「レイヤー・ケーキ」も残念ながらその部類に入る作品だった。 ある麻薬ディーラー(007新ボンド役のダニエル・クレイグ)の物語。引退前の一仕事となるはずだった少女の捜索と数百万錠のエク●タシーの取引がメイン。でも、この世界は簡単に抜け出せない。あーだこーだ、ぐだぐだやって結局元の仕事に落ち着くというストーリー。 コレといって見せ場もメリハリもなく、詳しく書くほどの深さもない。エンディングは特典映像にあった「別のエンディング」のほうがよかった。 珍しく高い新作を購入したのにもかかわらず、期待を裏切られた怒りもあって自宅に置いていた期間は最短の3日間だった。それでも買い取り価格は購入金額の3分の1以下・・・このコーナー、コストが掛かるな〜(笑)当然、 星はない 。 |
今は知事職に専念して、なかなか映画に出てくれないアーノルド・シュワルツネッガーだが、彼の出演した作品の一つに「トータル・リコール」というのがある。火星を舞台に繰り広げられるSFアクション映画だ。 現実では人間はまだ火星に移住してないし、実際に行った人さえいない。無人探査衛星からの映像を分析して、太古に川があった形跡とか人面の形をした大地があるとかの話題を提供しているのに過ぎない。 宇宙の規模から比較したら、針で突いたほどの大きさでしかない太陽系の中でさえ、人類はほとんど踏み入れたことがない世界だが、同時にこの地球の地底や深海にもまだ見ぬ世界が多くある。今回の作品はそんな深海での出来事を通して、巨匠ジェームス・キャメロン監督が愚かな人類にメッセージを発信する「アビス」だ。 連絡の取れなくなったアメリカ原子力潜水艦の捜索のために、民間の深海油田発掘スタッフが海軍に協力することになった。生存者の救出という使命の他に、極秘の命令を受けていた海軍のダイバー達は密かに核弾頭を搭載したミサイルを運び出す。 一方、洋上ではお互い疑心暗鬼になった米露の対立が激化し、第二のキューバ危機に・・・。深海では置き去りになった核爆弾を止めに、一人の男が海溝へ沈んでいく。人類は5千メーターを超える深海に潜れるのか、また第3次世界大戦の危機は回避できるのか。 クレジットによると監督は構想20年、制作費5000万ドル、製作日数約3年をかけたらしい。キャメロン監督と言えば他には「エイリアン」「ターミネーター」「トゥルー・ライズ」「タイタニック」など超大作が目白押しだから、そんなケタ外れの規模になっても不思議ではない。 凝りに凝った映像や高度なSFX技術だけでも星3つの価値はある。ただ、難癖を付けさせてもらえるなら、深海に潜む知的生命体の作りがちょっとおもちゃっぽかったかなと。ミスター(ミス?)グレイのような作りにせずとも、最初の登場どおり発光体のままでもじゅうぶん神秘的な雰囲気は伝わってきたと思う。 また、いくらなんでも潜水艇とかに入らず、潜水用スーツだけで5千メーターを超える深さに潜るのはどうなんだろうか?それに570気圧という途方もない圧力を受けて体の自由が利くのか?などと気になる点もあるが、それを補って余るほど良くできた作品であることには間違いない。よって、先ほどの通り 星3つ としよう。 |
後々、このコーナーにも出てくる予定だが今、例の「24-TWENTY FOUR」シリーズを観ている。CTU(テロ対策ユニット)のジャック・バウアーが活躍する人気のアメリカTVドラマだ。24時間を1時間ごとに区切って、いろんな出来事を同時進行させる手法は斬新だろう。 とてもお金と時間が掛かっているのが分かるドラマ(アメリカのTVドラマはどれもそうだが)で人気が出るのも頷ける。日本にも多くのファンがいるようで、CTU独特の電話着信音をケイタイの着メロにしている人も多い。 テロ対策というぐらいだから国家の最重要機関で、その活動は何者にも優先されるようだ。例えば通信傍受もそうだが、敵のクルマを追跡するのに自由に、それも即座に偵察衛星を勝手に(!)使えるらしい。今では路上に落ちている切手の模様が判別できるほどの性能があるので、バカでかいSUVをマークするぐらい朝飯前だろう。 と、冒頭から「24-TWENTY FOUR」の話しが長くなってしまったが、今回の作品にも偵察衛星がよく出てくる。ただ、これを使っているのは同じ政府機関でもCTUではなくNSA(国家安全保障局)という機関で、またその監視対象はテロリストではなく一般市民であるというのが大きな違いだ。 ウィル・スミス扮する弁護士のディーンは、知らないうちに旧友から殺害シーンが写ったビデオを渡される。NSAのレイノルズ(ジョン・ボイド)はビデオの回収作戦と同時に、ディーンの社会的信用を失墜させて世間から孤立させていく。 NSAだけでなく警察からも追われるようになった彼は、元NSA職員で通信工作のスペシャリストであるブリル(ジーン・ハックマン)の手助けで、国家レベルの監視体制と、件の衛星や防犯カメラからの追跡に反撃を開始する。 昔のスパイ映画とかでは盗聴マイクや隠しカメラが一般的だった。この映画では、そういったギミックに頼ることなく普通の電話の会話を盗聴したり、店舗の防犯カメラに映った映像を勝手に盗み見ることが現実に可能だということに、大きな警鐘を鳴らしているのだろう。もうプライバシーは存在しないのかも知れない。 余談だがスパイ映画と言えば「スパイ大作戦」、その後リメイクされてトム・クルーズ主演の「ミッションインポッシブル」シリーズとなったが、今回NSAの悪玉を演じているジョン・ボイドはその「Mi-1」でイーサン・ハントの上司役をしている。結局、そこでも悪玉(裏切り者)だったのだが、絶妙な悪役がハマっているのがいい。 本作品では主演のウィル・スミスよりも、彼の悪役キャラが強烈に光っていたのは間違いないだろう。エル・カミーノに乗ったいぶし銀のジーン・ハックマンの魅力と共に、そんな貴重な悪役ぶりに対して 星3つ を進呈したい。 |
昔、まだ幼い頃、父親に連れられてよく街の映画館に行った。 私の映画好きは、その時の影響を受けたためだろう。父親が漕ぐ自転車の荷台に座って映画館に行ったのを不思議と今でも覚えている。あの頃の父の背中はとても大きかった。 その映画館はリバイバル専門の映画館で、新作は上映しない。その代わり、料金は他の所の半分以下ではなかっただろうか、それも3本上映で。おかげでお金のない中学生、高校生当時にもよく観に行くことが出来た。 そんな学生時代に観た映画の一つで、強烈な印象を受けた作品が今回の「ゲッタウェイ」だ。前ページの「ブリッド」に引き続き、スティーブ・マックィーン主演。1972年の作品で、おそらく彼が役者人生の中で一番脂が乗りきった頃の作品だろう。 「ブリッド」では敏腕刑事役だったが、この「ゲッタウェイ」ではマックィーンの持ち味であるアウトロー役を演じている。カミソリのような切れ味を発揮する彼を見ていると、善玉は影が薄くなってしまうほどだ。 刑務所に4年も服役し、仮釈放の申請も却下されたドク・マッコイ。長い服役で精神的に追いつめられていく彼は、悪徳政治家ジャック・ベニオン(ベン・ジョンソン)に裏から手を回して釈放してもらうよう、妻のキャロルに指示する。 釈放と引き替えに彼がジャックから命令されたのは銀行を襲う仕事。ジャックが手配した男二人とキャロルを含め4人で銀行強盗は成功するものの、この仕事は最初からドク一人に罪を着せ殺害する計画だった。妻の裏切りもあり彼は葛藤の中、組織と警察の両方から逃げる羽目になる。 テキサスの片田舎でレミントンの12ゲージショットガンを手に入れ、パトカーをスクラップにするシーンやエルパソの安モーテルで組織の連中と繰り広げる銃撃シーンは、バイオレンスアクション監督としてサム・ペキンパーの名を一気に高めたことでも有名。目指すはメキシコ、無事に国境を越えられるのか。 オリジナルではハッピーエンドになっていたが、当時のアメリカ社会では悪者が成功する結末は許されず、別のエンディングが用意されていたとの逸話も・・・。 この共演が元で、その後マックィーンと結婚したアリ・マッグローやアクの強い組織の悪者たちも勿論だが、エルパソで出会ったオンボロトラックの老人の存在が、この作品をいっそう締めている。また、全編に流れる情緒溢れるBGMもGOOD。 これまた評価は当然、 星3つ で文句なし! |